2023 Fiscal Year Annual Research Report
火山噴煙ダイナミクス再現の数値研究:カンピ・フレグレイ噴火への適用
Project/Area Number |
22KF0125
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 雄治郎 東京大学, 地震研究所, 准教授 (30392939)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MARTINEZ MONTESINOS BEATRIZ 東京大学, 地震研究所, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 火山噴火 / 火山灰 / 災害 / 数値シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
爆発的火山噴火による災害予測を目的に数値シミュレーション研究を実施した。イタリアのカンピ・フレグレイ火山の40万年前の大規模噴火に焦点をあて、その噴火条件と火山灰降灰分布について明らかにすることを目的にした。火山噴煙の3次元モデルSK-3Dと広域の大気状態を含めた火山灰の移流拡散モデルFall3Dを用い、数値研究を推進した。SK-3Dでは噴火条件を仮定して噴煙の流れと火山灰の輸送を計算する順計算を行い、Fall3Dでは複数の火山灰移流拡散計算をすることで堆積物分布から噴火条件を推定する逆計算を行った。 最終年度は、研究分担者である外国人特別研究員がFall3Dによる大規模なインバージョン計算を実施し、カンピ・フレグレイ火山噴火の堆積物分布を説明する噴火条件と大気条件を推定した。そこで得られた噴火・噴火条件を用い、研究代表者がSK-3Dによる火山噴煙シミュレーションを実施し、噴火推移を検討した。 2022~2023年度に実施した本研究によって、カンピ・フレグレイ火山の噴火推移を推定した。Fall3Dのインバージョン計算によって、噴火は数十時間継続したことを見積もった。噴火強度を示す噴出率は最大でピナツボ火山1991年噴火程度に達し、噴火初期と後期はその1/10程度であったことを明らかにした。このような噴火強度の時間変化からは、噴火初期と後期は安定した噴煙柱を形成し、最盛期には火砕流を発生したことが推定されるが、SK-3Dによる3次元噴煙ダイナミクス計算によっても確認することができた。 本研究で得られた結果は、日本地球惑星科学連合大会2023(JpGU)、アジアオセアニア地球惑星科学学会2023(AOGS)で発表した。
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