2022 Fiscal Year Annual Research Report
細胞外小胞が内包する分子の動態解明と新しい牛伝染性リンパ腫モニタリング技術の開発
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22F22097
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
猪島 康雄 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (20355184)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
RAHMAN MD. MATIUR 岐阜大学, 応用生物科学部, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | 細胞外小胞 / 牛伝染性リンパ腫 / BLV / EBL / モニタリング |
Outline of Annual Research Achievements |
牛伝染性リンパ腫(EBL)は、牛伝染性リンパ腫ウイルス(BLV)感染を原因とし、いまだ発症要因は解明されていない。毎年発症頭数が増加しており、大きな経済的損失をもたらしている。 本研究では、牛の生乳と血液に含まれる細胞外小胞(EV)に着目した。EVは、あらゆる細胞から分泌され、宿主の生体環境を反映してEVが内包する分子の種類と量が変動することが知られており、ヒトではがん診断に活用されている。EBLは牛のB細胞性リンパ腫、血液のがんであることから、EV内の分子を網羅的に解析し、内包分子がリンパ腫発症までの過程でどのような動態を示すのか解明し、新しいEBLのモニタリング技術の確立を目指す。 本年度は、以下の研究を進めた。①大学附属の酪農場、民間の酪農場、と畜場で、BLV感染牛、およびEBLと診断されたEBL発症牛から生乳と血液を収集した。同様にBLVに感染していない健康牛からも生乳と血液を収集した。②生乳と血液中のEVを分離・精製後、内包する核酸(mRNA、miRNA)を抽出し、マイクロアレイ、ジーンチップを用いて網羅的比較解析を実施した。 その結果、以下の研究成果を得た。BLV感染量を定量し、感染初期、中期、後期に分類した。BLVに感染していない健康牛の生乳EV内包分子と比較し、感染後期牛の生乳EVで有意に増加するmiRNAを複数種類同定できた。また、それらのmiRNAを検出するためのリアルタイムPCR検出系の確立に一部成功した。さらにEBL発症牛の生乳EV内で有意に増加するmRNA、およびmiRNAを複数種類同定することができた。同様に、それらのmRNA、miRNAを検出するためのリアルタイムPCR検出系の確立に一部成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りに、大学附属の酪農場、民間の酪農場、と畜場で、BLVに感染していない健康牛、BLV感染牛、EBL発症牛から生乳と血液を収集し、生乳と血液中のEVを分離・精製後、内包する核酸をマイクロアレイ、ジーンチップを用いて網羅的比較解析を実施した。 その結果、BLVに感染していない健康牛と比較し、BLV感染後期牛、EBL発症牛の生乳EVで有意に増加するmiRNA、mRNAを複数種類同定することができ、それらを検出するためのリアルタイムPCR検出系の確立に一部成功した。 従って、現在までおおむね順調に計画が進捗していると考えられるから。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き、BLVに感染していない健康牛、BLVに感染しているがEBLを発症していないBLV感染初期~後期牛、およびBLVに感染しEBLと診断されたEBL発症牛の生乳と血液を収集する。 以下の項目とEV内包分子の動態との相関、およびBLV感染からEBL発症までのステージを区分し、EBLのモニタリング検査に適した標的分子を同定する。 牛の年齢、白血球数、リンパ球数、トータルLDH、LDHアイソザイム、感染ウイルス量、その他。
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Research Products
(14 results)