2023 Fiscal Year Annual Research Report
日本における核政策と気候安全保障との相互作用に関する調査
Project/Area Number |
22KF0176
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
関山 健 京都大学, 総合生存学館, 准教授 (90583576)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ODEYEMI CHRISTO 京都大学, 総合生存学館, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 気候変動 / 気候安全保障 / 気候政治 / カーボンニュートラル政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、外国人研究員とともに、気候安全保障(気候変動に伴う政治・経済・社会的リスク)という観点から、日本の気候変動対策と原子力エネルギー政策の課題を明らかにしようとするものであり、第三年度である令和5年度には、以下のような形で研究を進めた。 【調査・分析】 経済産業省、環境省、気象庁、国立環境研究所などの実務家・研究者へのインタビューを行うとともに、日本の気候安全保障関連政策に関する文献をレビューし、欧米や国連等での政策動向との比較を通じて日本の特徴の導出を行った。 【研究発表】 こうした調査・分析の成果は、本研究の成果として、国際査読ジャーナル論文1件(Odeyemi, C., & Sekiyama, T. (2023). The Roles of Four Important Contexts in Japan’s Carbon Neutrality Policy and Politics, 1990-2020. Climate, 11(12), 233)を発表した。この論文は、2020年10月に発表された日本の「カーボン・ニュートラル・ネット・ゼロ(CNN)」政策の背景について、(1)日本の有力な気候変動関係者が気候変動を「気候危機」と位置づけたことが、日本が2020年10月にCNN政策を正式に発表する重要な動機となったこと、(2)国際社会からの圧力と菅義偉政権の政治的リーダーシップが、日本政府の姿勢を変え、この政策を発表するに至った本質的な要因であったこと、(3)日本がもっと早くカーボン・ニュートラル政策を発表できなかったのは、京都議定書の排出削減目標における公平性の問題に対する日本の気候変動関係者の懸念がそのような発表を妨げた側面があること、を明らかにしたものである。そのほか、関連の口頭発表2件(研究・イノベーション学会、グローバルビジネス学会)を行った。
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