2022 Fiscal Year Annual Research Report
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22F22079
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村川 泰裕 京都大学, 高等研究院, 教授 (50765469)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BHAGAT SHRUTI 京都大学, 高等研究院, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2022-09-28 – 2025-03-31
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Keywords | エンハンサー |
Outline of Annual Research Achievements |
長鎖NET-CAGE法を開発・確立することに取り組んだ。申請者らがこれまで独自に開発してきた(短鎖)NET-CAGE法を用いることで、eRNAの転写開始点を正確かつ超高感度に捉えられ(Nature Genetics 2019)、従来技術に比べ格段に多くのエンハンサーを解析することができる。申請者らの所属施設に設置されたPacBio長鎖シークエンシング技術やその他のシークエンス機器・技術と組み合わせ、さらに「長鎖NET-CAGE法」に発展させるための実験条件・ライブラリー作成条件を検討する実験を行った。これによりRNA分子の転写開始点のみならず、スプライシング部位、転写終結点を正確に決定して、eRNAを含むRNA分子の完全長構造を解析することが可能になる。開発された長鎖NET-CAGE法を、ヒトの細胞株に適用し、長鎖NET-CAGE法のパフォーマンスを評価した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
長鎖NET-CAGE法を開発・確立することに取り組んだ。申請者らの所属施設に設置されたPacBio長鎖シークエンシング技術やその他のシークエンス機器・技術と組み合わせ、さらに実験条件・ライブラリー作成条件を検討する実験を行った。具体的には、逆転写反応、PCR増幅反応、完全長でないRNA分子の事前分解ステップの導入、3'末端を可能な限り正確に捉える手法の導入、など多岐にわたる工夫と最適化を緻密に行った。これによりRNA分子の転写開始点のみならず、スプライシング部位、転写終結点を正確に決定することができるRNA分子の完全長構造解析法を立ち上げることが可能になった。開発された完全長解析法を、ヒトのK562慢性骨髄性白血病細胞株に適用することで、非常に良好なRNA分子の完全長を捕捉した結果が得られ、さらにバイオインフォマティクス手法のパラメーターの最適化も実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒトゲノムの99%の領域は、蛋白質をコードしておらず従来ジャンクと言われてきたが、遺伝子の発現スイッチとして中心的に働くエンハンサーが散りばめられている。エンハンサーは様々なヒト疾患に関与していることが近年のホットトピックである。驚くことに、活性化したエンハンサーからは、enhancer RNA (eRNA)と呼ばれるノンコーディングRNAが合成されているが、eRNAは短寿命で低発現であり、従来法では解析困難であった。そこでBhagat博士と申請者らは、世界最高レベルの高感度でeRNAを解析できるNET-CAGE法を開発した(Nature Genetics 2019)。本課題では、NET-CAGE法や長鎖シークエンス技術を組み合わせ、RNAの全長構造を読み解くための基盤技術を作成した。今後は、得られたデータから、エンハンサーが機能するための塩基配列ロジックを発見する情報解析を実施して、さらに、エンハンサーの配列変異がゲノム制御やヒト疾病に及ぼす影響を解析する。
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Research Products
(6 results)