2023 Fiscal Year Annual Research Report
高温高圧力下における軽元素流体の挙動と天体の内部構造
Project/Area Number |
22KF0232
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
近藤 忠 大阪大学, 大学院理学研究科, 教授 (20252223)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CHERTKOVA NADEZDA 大阪大学, 大学院理学研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2023-06-29 – 2024-03-31
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Keywords | 軽元素流体 / 惑星深部 / 高温高圧力 / ダイヤモンドアンビルセル / 振動分光実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
惑星の深部や表層の進化史を考える上で、地下のH2O-CO2系軽元素流体の高温・高圧力下における相関係や反応関係を明らかにすることは大変重要である。現時点で安定した地下条件での高温流体その場観察や生成物の詳細分析のデータ報告は限られており、特に圧力下・高温下での流体反応関係と反応生成物の基礎データは決定的に不足している。今回の研究では、外熱型ダイヤモンドアンビルセルに対し、発熱効率の高い白金系合金と大容量ヒーターを開発、最大で約800℃までの高温発生をダイヤモンドアンビルセル内に発生できる熱装置を新たに作成した。また、岡山大学・惑星物質研究所との共同研究を進め、本装置を用いてラマン散乱法や赤外吸収法などの振動分光学的手法を用いた高温・高圧力下のその場観察を行った。地下流体を模擬したシュウ酸-シュウ酸二水和物系の試料を用い、試料内の酸素雰囲気制御にも配慮して、1気圧から高圧力下における高温その場観察を行ったところ、最も高温側では単一流体が生成される一方で低温側では二流体分離が起こること、マントル条件の3.6万気圧・500℃以上での高温・高圧力側では新たに固体炭素相を生成する反応が起こる等の新たな知見が得られた。これらの結果は、地下流体の移動過程で起こる反応と、最終的な流体の急冷や冷却での挙動を考える上で重要なデータであり、データの解釈とまとめに関して共同研究に関係した全員で議論を継続、国際誌への投稿論文(Chertkova et al., Speciation of C-O-H fluids at high pressure conditions: insights from in situ experiments with oxalic acid dihydrate,to be submitted to Chemical Geology)として準備中である。
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