2023 Fiscal Year Research-status Report
バイオ炭電子伝達型嫌気性消化による家畜糞尿からの抗生物質耐性遺伝子の除去
Project/Area Number |
22KF0257
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
井原 一高 神戸大学, 農学研究科, 教授 (50396256)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
FARGHALI MOHAMED 神戸大学, 農学研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Keywords | 嫌気性消化 / 抗生物質 / 薬剤耐性 / 家畜糞尿 / 磁気力 / バイオ炭 |
Outline of Annual Research Achievements |
畜産業では,家畜に対し疾病治療・予防や成長促進を目的に抗生物質(動物用抗菌剤)が使用されている。抗生物質が投与された家畜の糞尿に残留し,関連する耐性菌が出現することが報告されている。家畜糞尿の資源としての価値を確保するには,対策技術が求められる。 家畜糞尿に残留する抗生物質耐性菌や耐性遺伝子の制御のため,電子伝達材料であるバイオ炭を添加した嫌気性消化の有効性を明らかにすることを試みた。バイオ炭は嫌気性消化において直接電子伝達を促進させることが最近報告されている。まず,バイオ炭の添加が乳牛糞尿に残留する抗生物質耐性菌の減少に与える影響について,酸生成およびメタン生成の2つのフェーズに分けた回分式試験によって評価した。その結果,バイオ炭の添加はオキシテトラサイクリン耐性菌の減少に寄与することが明らかになった。バイオ炭は添加物のため,嫌気性消化の連続運転を行った際には,槽内から流出する恐れがある。そこで,磁気力によるバイオ炭の保持方法について検討した。本年では,磁性材料であるマグネタイトを嫌気性消化に添加し,永久磁石によるマグネットドラムを用いた保持手法について検討した。液体酪農バイオマスを投入原料として連続試験を行い,運転に必要な基礎的な知見を得た。また,バイオ炭に磁性を付与した磁性バイオ炭の製造についても検討を行った。また,嫌気性消化に関連するレビュー論文を 執筆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
回分式試験の結果,バイオ炭が抗生物質耐性菌の低減に有効であることが明らかになりつつある。また,磁気力によって磁性材料を保持できるマグネットドラム付きリアクタを用いた連続運転手法についても目途がついた。磁性バイオ炭を確保できれば,連続運転試験を開始することができることから,おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
強磁性粒子を保持し一定の耐久性が備わった磁性バイオ炭の確保ができ次第,乳牛糞尿が含有する酪農液体バイオマスを投入原料として,連続試験を実施する。磁性バイオ炭の寿命について評価を行い,磁気力によるバイオ炭の保持が嫌気性消化における直接電子伝達を促進させることを明らかにする。
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Research Products
(8 results)