2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21F21327
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
安田 琢麿 九州大学, 稲盛フロンティア研究センター, 教授 (00401175)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KIM HYUNG JONG 九州大学, 稲盛フロンティア研究センター, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2021-11-18 – 2024-03-31
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Keywords | 熱活性化遅延蛍光 / 有機EL / 狭帯域発光 / フルカラー / 量子化学計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
熱活性化遅延蛍光(TADF)材料は、レアメタルを用いずとも有機EL(OLED)において最大100%の内部EL量子効率を実現できる画期的な技術である。しかし、TADFの発光スペクトルは一般に半値幅が広く色純度が低いという課題があった。高精細ディスプレイへの応用を指向した場合、高効率かつ半値幅が狭く色純度の高い発光材料は極めて重要である。特に、赤・緑・青色の三原色について高演色性を確保することは必須である。 受入研究者らはカルバゾールとホウ素を適切に組み合わせて、青色~赤色までの狭帯域発光フルカラー有機ELを初めて実現した。このような多彩な発光色を示す狭帯域発光TADF材料はまだ例が非常に少なく、分子構造とバンドギャップ(発光色)やスペクトル幅の関係性は明らかになっていない。本研究では、量子化学計算と実験の両面からこの関係性を追求し、高効率かつ多彩な波長での超狭帯域発光の実現を目指して検討を行った。 カルバゾール誘導体と三配位ホウ素から構成される縮合多環骨格を基本モチーフとして、種々の置換基や典型元素を導入した際の電子構造変化について、時間依存密度汎関数法(TD-DFT)を用いた量子化学計算を行い、候補材料のスクリーニングを行った。特に、最低励起一重項および三重項のエネルギーレベル、一重項・三重項エネルギー差、振動子強度、再配列エネルギーに着目し、TADF特性と狭帯域発光特性の両立が期待できる分子群を抽出し、材料合成を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計算スクリーニングにより、TADF特性と狭帯域発光特性の両立が期待できる分子群を抽出することができた。また計算結果から、幅広い可視域での発光のカラーチューニングの可能性も示されており、有望な分子を設計できている。まだ目的化合物は得られていないものの、着実に材料合成も進んでおり、研究計画通りに進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
材料設計はほぼ完了しているため、今後は材料合成に注力して研究を進めていく。目的化合物が得られた後は基礎光学物性評価を行い、量子化学計算との整合性および構造-物性相関について検証を行う。
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