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2022 Fiscal Year Annual Research Report

分子組織化に基づくシングレット・フィッションのイノベーション

Research Project

Project/Area Number 22F21788
Allocation TypeSingle-year Grants
Research InstitutionKyushu University

Principal Investigator

君塚 信夫  九州大学, 工学研究院, 教授 (90186304)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) PAPADOPOULOS ILIAS  九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
Project Period (FY) 2022-04-22 – 2024-03-31
Keywords自己組織化 / 三重項 / フォトン・アップコンバージョン / シングレット・フィッション
Outline of Annual Research Achievements

テトラセンジカルボン酸誘導体と種々のアミンからモル比1:2となるようにTHF溶液中で混合し、これを水中にインジェクションする手法により、水分散ナノ粒子を作製する手法を開発した。THF中に分子分散したテトラセンジカルボン酸の蛍光量子収率は50.8%であるが、水分散ナノ粒子については、アキラルなアミンを用いた場合に43.5%、またキラルなアミンを用いた場合に6.4%と、アミンの分子構造に依存して蛍光量子収率が変化した。キラルなアミンを対イオンとする塩については、テトラセンの400-500nm付近の吸収帯に明確な誘起CDが観測され、ナノ粒子中においてテトラセン基間にキラルな分子配向が誘起されていることが判った。また電子顕微鏡観察において、長周期~3.9nmのラメラ構造が観測され、この長周期はイオン対のサイズと一致した。時間分解過渡吸収スペクトル測定を行ったところ、テトラセンジカルボン酸ナノ粒子については、励起一重項状態の吸収が550-700nm付近に観測されたが(2.8 ps~1.2 ns)、励起三重項状態の過渡吸収は観測されず、シングレットフィッションは確認できなかった。同様に、アキラルイオン対ナノ粒子においても、励起三重項状態由来の過渡吸収は観測されなかった。一方、キラルイオン対ナノ粒子においては、励起一重項状態(2.85 ps後, 550~700nm)の減衰に伴い、500 nm付近にcorrelated triplet pair 1(T1T1)の過渡吸収が1.2ns後にかけて表れ、キラル分子組織化されたテトラセン発色団間においてのみシングレット・フィッションが観測された。このように、キラルな分子組織化がシングレット・フィッションを促進するという仮説の実証に成功した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

種々な新規シングレットフィッション発色団の合成を行なった。特に、ヒュッケル芳香族性を有する種々のテトラセン誘導体とベアード芳香族性を有するシングレットフィッション発色団DPNDに着目し、系統的な合成を行った。合成した分子の分子集合構造ならびにその分光学的特性を明らかにするとともに、シングレットフィッション機能の発現について検討を行った。キラルな分子組織化をイオン対形成法により達成し、水溶液キラルナノ粒子におけるシングレットフィッションを観測することに成功するとともに、その成果を日本化学会春季年会において発表した。

Strategy for Future Research Activity

初年度で明らかにしたキラルイオン対ナノ粒子系におけるcorrelated triplet pair 1(T1T1)の過渡吸収を、より長い(~ns)オーダーで追跡し、フリーな(T1+T1)対への解離の有無を確認する。以上の結果を、札幌で開催される光化学国際会議にて発表するとともに、シングレットフィッションに関する情報収集を行う。また、ナノ粒子系は、散乱が大きなことから、過渡吸収の測定が難しい問題があるため、キラルなハイドロゲルやオルガノゲルなど、高秩序でありながら散乱がより少ないシステムの探索を行う。また、銀ナノ結晶や金ナノ結晶が大面積にナノギャップ配列したナノギャップ界面を作製し、この上にスピンコートや蒸着法によってシングレット・フィッション化合物の薄膜を作製する。ナノギャップ・プラズモン増強により励起光の増強を行い、ナノギャッププラズモニクスがシングレットフィッションに及ぼす効果を明らかにする。

  • Research Products

    (2 results)

All 2023 Other

All Presentation (1 results) Remarks (1 results)

  • [Presentation] Multiple Exciton Generation via Intermolecular Singlet Fission within Aqueous Nanoparticles2023

    • Author(s)
      ○Ilias Papadopoulos, Joseph Ka-Ho Hui, Masa-aki Morikawa, Kenji Kaneko, Kiyoshi Miyata, Ken Onda, Nobuo Kimizuka
    • Organizer
      日本化学会 第103春季年会(2023)
  • [Remarks] 君塚研究室HP

    • URL

      https://www.chem.kyushu-u.ac.jp/~kimizuka/

URL: 

Published: 2023-12-25  

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