2023 Fiscal Year Annual Research Report
Innovation of Singlet fission based on molecular self-assembly
Project/Area Number |
22KF0298
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
君塚 信夫 九州大学, 工学研究院, 教授 (90186304)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PAPADOPOULOS ILIAS 九州大学, 工学研究院, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 自己組織化 / 三重項 / フォトン・アップコンバージョン / シングレット・フィッション |
Outline of Annual Research Achievements |
SFで生じる相関トリプレット対状態は、電子的な相互作用はないがスピンのコヒーレンスは持続している状態を経て、スピンのコヒーレンスを失って2つの励起三重項状態を与える。このプロセスを実現するためには、①相関トリプレット対状態の相互作用を弱め、トリプレットと五重項(クインテット)状態のエネルギー差を低くすること、②生じた2つのトリプレットを高速のエネルギーマイグレーションにより分離することの相反する条件を実現する必要がある。そこで本研究では、SFを起こす発色団であるテトラセンジカルボン酸誘導体と種々のアミンをモル比1:2でTHF溶液中で混合し、これを水中にインジェクションして水分散ナノ粒子を作製した。THF中に分子分散したテトラセンジカルボン酸の蛍光量子収率は50.8%であるが、キラルなアミンを用いた水分散ナノ粒子については6.4~7.9%と蛍光量子収率が激減した。時間分解過渡吸収スペクトル測定を行ったところ、テトラセンジカルボン酸ナノ粒子については、励起一重項状態の吸収が550-700nm付近に観測されたが(2.8 ps~1.2 ns)、励起三重項状態の過渡吸収は観測されず、シングレットフィッションは確認できなかった。一方、キラルイオン対ナノ粒子においては、励起一重項状態(2.85 ps後, 550~700nm)の減衰に伴い、500 nm付近にcorrelated triplet pair 1(T1T1)の過渡吸収が1.2ns後にかけて表れ、キラル分子組織化されたテトラセン発色団間においてのみシングレット・フィッションが観測された。以上の結果は、キラルな分子組織化がシングレット・フィッションを促進することを示している。
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Research Products
(4 results)