2022 Fiscal Year Annual Research Report
エネルギー応用に向けたナノカーボン/層状複水酸化物ヘテロ構造の創製
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22F21728
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
馬 仁志 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, グループリーダー (90391218)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PICHEAU EMMANUEL 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2022-07-27 – 2024-03-31
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Keywords | ナノカーボン / 層状複水酸化物 / フラーレン / 電極触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
高品質のニッケルー鉄層状複水酸化物 (LDH) から単層ナノシートを合成した同時に、アルカリ金属による炭素還元反応プロセスの最適化を行った。アルカリ金属還元の場合、酸化グラフェンと異なり、非官能化炭素の還元により負電荷は導入され、高い導電性のグラフェンが得られることを明らかにした。その中で、グラファイト前駆体の横方向のサイズが小さいほど、剥離しやすくなる傾向にあり、得られるグラフェン分散液濃度に直接影響することが分かった。反対電荷を持つ2種類のナノシート、すなわちNi-Fe LDHナノシートとアルカリ金属還元グラフェンを混合することによって、凝集させることに成功した。得た凝集体の構造を解析した結果、すでに報告されたNi-Fe LDHと還元酸化グラフェン(rGO)のヘテロ積層生成物に比べ、2種類のナノシート間の距離が小さくなる一方、電極触媒特性はほぼ同等レベルであった。 また、アルカリ金属還元フラーレンとMgAl LDHナノシートのナノコンポジットの合成を始めた。LDHナノシートとフラーレンが交互に積層するヘテロ構造が得られるかについて、引き続き考察中である。一方、LDHの陰イオン交換特性を利用し、フラーレンの直接挿入(インターカレーション)によるヘテロ構造の形成を試みている。 前述のアルカリ金属還元グラフェンとフラーレンを用いた凝集実験結果から、ナノカーボンの還元的溶解がナノコンポジットの創成に大きな可能性を示すことが実証された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アルカリ金属還元による結晶性高いグラフェンやフラーレンなどの新規ナノカーボン材料の合成に成功した。さらに、レドックス活性な層状複水酸化物とナノカーボンのヘテロ構造を構築し、エネルギー応用に向けた触媒特性評価を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、アルカリ金属によるグラファイトやフラーレンのインターカレーションと還元的溶解反応を利用して、水中に分散する負に帯電したグラフェンやフラーレン類のナノカーボンが高品質に得られる条件を引き続き探索する。均一沈殿法でMg-Al組成をはじめとする高結晶性層状複水酸化物を合成する一方、Ni-Feに代表される3d遷移金属組成を含むブルーサイト型水酸化物プレートレットにソフトケミカル酸化処理を施し、レドックス活性な層状複水酸化物に変換する。層状複水酸化物の層間にフラーレンを挿入するインターカレーション反応を設計する。さらに、基板上化学気相成長したグラフェンにナトリウム/カリウム合金による帯電処理し、層状複水酸化物との電荷相互作用を解析する。 層状複水酸化物を単層剥離してナノシートを合成する。静電的自己組織化プロセスにより、正に帯電したLDHナノシートと負に帯電したグラフェンやフラーレン類のナノカーボンを分子レベルで複合化を行い、ヘテロ構造を創製する。ナノカーボン/LDHのヘテロ構造を酸素発生反応(OER)においての触媒特性評価とメカニズムの解明を進める。特に、ヘテロ接合界面における電荷移動および反応中間体の電子構造を調節することによって、触媒能の向上につなげる。
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