2022 Fiscal Year Annual Research Report
Investigating the relationship between volcanism and glacial-interglacial cycles in Antarctica
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22F22731
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
谷 健一郎 独立行政法人国立科学博物館, 地学研究部, 研究主幹 (70359206)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
FOX JODI 独立行政法人国立科学博物館, 地学研究部, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2022-11-16 – 2025-03-31
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Keywords | 南極海 / テフラ / 氷期-間氷期サイクル |
Outline of Annual Research Achievements |
氷期-間氷期サイクルで特徴づけられる第四紀気候変動によって南極氷床の消長が起こる。それに伴う地殻変動によって周辺地域の火成活動の盛衰がコントロールされている可能性が最近指摘されている。この仮説を検証する上で、南極の火山活動、特に海域火山の活動履歴の情報が不足していることが大きな障害となってきた。 本研究では、2019年に実施した白鳳丸KH-19-6レグ4航海で採集した南極半島周辺の海底堆積物コア中に含まれる火山灰・軽石の地球化学・岩石学・年代学的研究を行う。それによって火山灰・軽石の給源火山を制約し、その量・頻度から南極大陸周辺の火成活動の履歴を復元することを目指す。 本年度は堆積物コアに含まれる火山灰・軽石について、既存の試料では分析には不十分であることが判明し、まずはコアから分離・精選を行うための実験方法を検討した。その結果、微量の堆積物からも火山灰や軽石を効率よく分離するための手法を確立できた。分離した火山灰・軽石については電子マイクロプローブアナライザーを用いた予察的な主要元素組成分析を行った。その結果、堆積物コアには玄武岩から流紋岩に至る幅広い組成バリエーションを持った火山灰が含まれることが判明した。この組成バリエーションは単一のマグマ由来ではないトレンドを示し、複数の給源火山が存在している可能性が示唆される。 これらの予察的な結果について、2023年2月にニュージーランドで開催された国際火山学会(IAVCEI2023)に研究分担者(Fox博士)が参加して、関連研究者と議論を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画では研究協力者から堆積物コアから分離済みの火山灰試料を提供してもらい、分析を進める予定であった。しかし既存試料には分析に必要な量の火山灰が含まれていないことが判明し、新たにコアから火山灰・軽石を分離することが必要になった。 受入機関には火山灰の分離用資材が整っていなかったため、まずは手法の立ち上げから行った。幸いにして作業は順調に進み、分離・精選手法を確立することができた。 当初計画していた火山ガラスの揮発性成分分析までは時間的に至らなかったが、電子マイクロプローブアナライザーを用いた主要元素組成分析まで進んでおり、概ね順調に進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
高知大学海洋コア国際研究所に保管されている本航海の未処理コアから火山灰・軽石を追加サンプリングする。まずは堆積物から火山灰・軽石を分離し、蛍光X線分析装置・電子マイクロプローブアナライザーを用い主要元素組成分析を行い、更にはレーザーアブレーションICP質量分析計を用いて微量元素組成を局所分析する。本年度実施できなかった、火山ガラスの揮発性成分分析については、研究協力者(海洋研究開発機構・Iona McIntosh博士)が保有するフーリエ変換赤外線分光装置を用いて実施する。
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