2023 Fiscal Year Annual Research Report
室温スピン偏極半導体ナノ材料の実現によるスピン光デバイスの開発
Project/Area Number |
22KJ0008
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐藤 紫乃 北海道大学, 大学院情報科学院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 量子ドット / スピン増幅 / 希薄窒化物半導体 / スピンダイナミクス / 光スピントロにクス |
Outline of Annual Research Achievements |
電子のスピン偏極状態を反映した円偏光を発するスピン発光デバイスの実現には,室温で高い電子スピン偏極率と十分な発光強度を両立する必要がある.上記の光スピントロニクスデバイスの発展には,金属では原理的に難しい光電変換や電界操作が可能な半導体中で電子のスピン偏極を保持する必要があるが,従来のバルクや量子井戸では,実用に必須の室温においてスピン偏極が急速に失われてしまうという課題がある.そこで本研究では,電子のスピン偏極を長時間保持で きるととも,電子を高い効率で光へと変換可能なⅢ-Ⅴ族半導体量子ドット(QD)に,室温でスピンフィルターとして機能する欠陥準位をもつ希薄窒化ガリウムヒ素(GaNAs)を組み合わせ,室温において高輝度発光と高スピン偏極発光を同時に達成する半導体光デバイスの実現を目指している. 初年度は,InAs QDとGaNAs量子井戸(QW)をトンネル結合させた試料をプラズマ支援型分子線エピタキシー法により作製し,GaNAs QWの厚さがQDのスピン発光特性に与える影響について研究した.GaNAs QWを薄くすることで欠陥準位の数が減少するため発光強度が高くなり,より少ないキャリア注入量でQDのスピン偏極率が最大になることを確認した.この結果は,GaNAsを利用したスピン発光デバイスの性能を向上させるためには,GaNAs中の欠陥数の制御が重要であることを意味している. 昨年度から本年度にかけては,GaNAs QWの位置の違いがQD基底準位なることがに与える影響を研究した。円偏光時間分解フォトルミネッセンスにより得られた発光強度や発光円偏光度の時間変化に対してレート方程式を用いて解析し,希薄窒化ガリウムヒ素―InAs量子ドットトンネル結合系における電子スピンダイナミクスの定量的な理解に努めた.
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Research Products
(3 results)