2021 Fiscal Year Annual Research Report
The driving factors of diversity in cooperation: The role of relational mobility and self-conscious emotions
Project/Area Number |
21J20529
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
前田 友吾 北海道大学, 文学院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | 関係流動性 / 誇り / 羞恥 / 協力 / 自己意識的感情 / 社会生態心理学 / 文化 / 適応 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究1) 関係流動性が成功場面での情動反応(誇りと羞恥)に与える影響を生理指標を用いた検討:新型コロナウイルスの流行のため、感染状況を考慮した結果、2021年度での実験実施を断念し、次年度の実験実施を目指し準備を進めた。具体的には、共同研究者とホルモン解析のための設備や実験室の環境などを確認し、実際の実験に向けてホルモン解析の手順および費用や、実際の実験の実施方法などについて打ち合わせを行った。新型コロナウイルスの感染状況を考慮しながらではあるが、来年度に実験を実施する予定である。 研究2) 誇りと羞恥の情動反応が、協力行動の性質 (競争的協力 vs. 規範的協力) に与える影響の検討:日本人とアメリカ人を対象として、他者より秀でた協力を行った場面を提示し、各場面での誇り感情と羞恥感情の強さについて、クラウドソーシングサイトを用いて質問紙調査を行った。その結果、先行研究で得られていた成功状況での誇り経験と羞恥経験の結果と同様の結果が示された。具体的には、他者より秀でた協力を行った時、アメリカ人の方が日本人よりも誇り感情が強く、一方で日本人の方がアメリカ人よりも羞恥感情が強かった。関係流動性などの社会環境に関する変数についても同時に測定したが、これらとの関連については現在データ分析中である。また、競争的協力と規範的協力に関しても、尺度を用いて測定を行った。こちらに関しても、現在データを分析している状況である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究1) 関係流動性が成功場面での情動反応(誇りと羞恥)に与える影響を生理指標を用いた検討:本年度に実施予定であった唾液を用いた生理指標測定の実験が、新型コロナウイルスの蔓延により実施できなかった。来年度の実験実施に向け、準備と打ち合わせを進めているが、今後の感染状況を見ながらの進展となるため、代替手法の検討も視野に入れる。 研究2) 誇りと羞恥の情動反応が、協力行動の性質 (競争的vs.規範的) に与える影響の検討:本年度内に調査を進めることができた。本年度実施した日米を対象とした質問紙調査では、協力状況においても誇り感情と羞恥感情の文化差が確認された。しかし、協力行動に対する影響は尺度による測定となったため、実際の協力行動にこれらの感情が与える影響については、来年度以降の検討課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究1) 関係流動性が成功場面での情動反応に与える影響を生理指標を用いた検討:実験室実験によって、他者からポジティブなフィードバックを受けた時の感情経験と情動反応を、生理指標と質問紙を用いて測定する。ただし、生理指標は唾液によって測定する予定であるため、新型コロナウイルスの感染状況を考慮しながら実験実施を検討する。唾液中ホルモン以外の指標として、質問紙のほかに表情測定を検討している。 研究2) 誇りと羞恥の情動反応が、協力行動の性質(競争的vs.規範的)に与える影響の検討:実際の協力行動と、秀でた協力を行った時の感情の関連を検討するため、実験室実験あるいはオンライン実験を計画している。協力行動の指標として用いるものとしては、経済ゲームの行動を予定している。新型コロナウイルスの感染状況およびデータ収集の効率等を考慮し、オンライン実験で行うか実験室実験で行うかを決定する。 研究3) 誇りと羞恥が生み出す協力行動の性質の違いが、協力度の集団内分布に及ぼす影響の検討:上記研究2のデータを分析し、集団内で優勢な協力行動の性質によって、分布に違いが現れているのかを検討する。
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