2022 Fiscal Year Annual Research Report
The driving factors of diversity in cooperation: The role of relational mobility and self-conscious emotions
Project/Area Number |
21J20529
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
前田 友吾 北海道大学, 文学院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | 関係流動性 / 誇り / 羞恥 / 自己意識的感情 / 協力 / 文化 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究1) 関係流動性が成功場面での情動反応(誇りと羞恥)に与える影響を生理指標を用いた検討:実験実施を目指し準備を進めた。具体的には、ホルモン解析に関しての薬品や一通りの手順など、ホルモン解析を実施する準びが整った。しかし、実験設定に関して幾つかの懸念が生じたため、まずは唾液の採取以外の手順について、プレ実験を行い、主観指標において実験状況の確定を行う。その後、ホルモン解析を含めた実験を実施する。来年度初旬にプレ実験、夏頃にホルモン解析を含めた実験を実施する予定である。 研究2) 誇りと羞恥の情動反応が、協力行動の性質 (競争的協力 vs. 規範的協力) に与える影響の検討:日本人とアメリカ人を対象として、クラウドソーシングサイトを用いて質問紙調査を行った。その結果、先行研究で得られていた成功状況での誇り経験と羞恥経験の結果と同様の結果が他者より秀でた協力を行った場面においても示された。具体的には、他者より秀でた協力を行った時、アメリカ人の方が日本人よりも誇り感情が強く、一方で日本人の方がアメリカ人よりも羞恥感情が強かった。関係流動性などの社会環境に関する変数にとの関連についても先行研究と同様の結果が示された。一方で、競争的協力と規範的協力に関しては、尺度を用いて測定を行ったが、両変数の相関が高く、質的な弁別をするには至らなかった。しかし、競争的協力と関連するであろう競争的成功動機は誇り感情と関連しており、関係流動性と成功動機は日米の誇り感情の文化差を説明した。同様に、規範的協力と関連するであろう同調動機と羞恥感情と関連しており、関係流動性と同調動機は日米の羞恥感情の文化差を説明した。今後は、競争的協力と規範的協力を実験状況で行動指標として計測することを目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究1) 関係流動性が成功場面での情動反応(誇りと羞恥)に与える影響を生理指標を用いた検討:本年度に実施予定であった唾液を用いた生理指標測定の実験が、実験状況の問題により実施できなかった。来年度の実験実施に向け、すでに準備と打ち合わせを進め、来年度初めにプレ実験、夏には本実験の実施に向けた準備を進めている 研究2) 誇りと羞恥の情動反応が、協力行動の性質 (競争的vs.規範的) に与える影響の検討:協力行動について、尺度による測定を行ったが、適切に協力行動を測定することはできなかった。そのため、実際の協力行動について、経済ゲーム実験を用いた行動指標による計測を行うことが検討課題である。 研究3) 研究2で収集した行動データを用いて、分布の形状について検討を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
研究1) 関係流動性が成功場面での情動反応に与える影響を生理指標を用いた検討:実験室実験によって、他者からポジティブなフィードバックを受けた時の感情経験と情動反応を、生理指標と質問紙を用いて測定する。生理指標は唾液によって測定する予定であり、解析環境については確認をすでに行っている。唾液中ホルモン以外の指標として、質問紙のほかに表情測定を検討している。適切な実験状況を設定するため、プレ実験を行ったのちに唾液収集を含めた本実験を行う。 研究2) 誇りと羞恥の情動反応が、協力行動の性質(競争的vs.規範的)に与える影響の検討:実際の協力行動と、秀でた協力を行った時の感情の関連を検討するため、実験室実験あるいはオンライン実験を計画している。協力行動の指標としては、尺度による測定だけでなく、経済ゲームを用いた行動指標の計測を計画している。データ収集の効率等を考慮し、オンライン実験で行うか実験室実験で行うかを決定する。 研究3) 誇りと羞恥が生み出す協力行動の性質の違いが、協力度の集団内分布に及ぼす影響の検討:上記研究2の行動データを分析することで、集団内で優勢な協力行動の性質によって、分布に違いが現れているのかを検討する。
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