2023 Fiscal Year Annual Research Report
協力行動の多様性をもたらすもの:関係流動性と自己意識的感情の役割
Project/Area Number |
22KJ0013
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
前田 友吾 北海道大学, 文学院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 関係流動性 / 自己意識的感情 / 誇り / 羞恥 / 文化 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究期間中の新型コロナウイルスの流行により、実験室実験を中心とした予定された研究を全て実施することは叶わなかった。その一方で、研究課題に沿うトピックをオンラインによる質問紙調査を利用して検討した結果、以下の知見が得られた。 研究1)これまでに得られていた関係流動性と成功時の自己意識的感情の経験は数回の再試を通して一貫した結果が得られ、関係流動性と誇り感情との正の関連、また関係流動性と羞恥の負の関連が見られた。 研究2)関係流動性と成功時の自己意識的感情の関連は成功獲得の動機によって媒介されるということが示された。また、各感情の機能に照らし合わせ、成功への動機を細分化して検討したところ、想定していたとおり、誇り感情と競争的成功動機、羞恥と規範的同調の間にはそれぞれ正の関連がみられ、関係流動性と感情経験の関連はそれらの動機によって媒介されていた。これらの結果は、当初想定していた誇りと競争的行動、羞恥と規範的行動との関連を示唆するものであった。 研究3)追加的な課題として、誇り感情および羞恥感情の表出者に対する評価の日米差と関係流動性の関連を検討した。結果は、一貫して日本人よりもアメリカ人の方が誇り表出者を高く評価するという予測と一貫した結果が得られた一方で、羞恥表出に関しても日本よりもアメリカで評価が高いという予測と一貫しない結果が得られた。また、誇り表出者の評価に対する関係流動性の効果は予測と反して一貫して有意な効果ではなく、羞恥表出者に関しても関係流動性が正の間接効果が得られたという予測と反する結果であった。以上の原因として、統制条件、従属変数の設定などの改善点などが考察された。
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