2023 Fiscal Year Annual Research Report
キラル希土類配位高分子の立体制御と偏光分子材料への展開
Project/Area Number |
22KJ0021
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鶴井 真 北海道大学, 大学院総合化学院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 希土類 / 配位高分子 / 錯体 / キラル / 円偏光発光 |
Outline of Annual Research Achievements |
キラル分子が配位したEu(III)錯体は発光の左右円偏光に強度差が生じる円偏光発光(CPL)を示す。この偏光機能は三次元ディスプレイや高度セキュリティインクなどへの応用が期待されており、CPLの異方性因子(gCPL)を制御するメカニズム解明が求められている。本研究ではキラルEu(III)錯体の立体構造を制御することでCPL特性に影響を与える因子を明らかにし、gCPLを増大させる偏光分子材料の設計指針を示すことを目的としている。 本年度はCPLの異方性因子が大きい四つのキラルβ-ジケトナト配位子が配位したEu(III)錯体に着目し、その対イオンを変化させ、電子構造の制御および大きなCPL異方性因子を示すキラルEu(III)錯体の設計指針を確立することを目的とした。ここでは対イオンとして構造制御が容易なアンモニウムカチオンを導入した。具体的には三種類のキラルβ-ジケトナト配位子と四種類のアンモニウムカチオンの組み合わせからなる十二種類のキラルEu(III)錯体を合成し、その構造および光学特性を系統的に評価した。その結果、左右円偏光強度差が七倍以上となるキラルEu(III)錯体の創成に成功し、CPLの異方性因子はEu(III)錯体の発光スペクトルの磁気双極子許容遷移と電気双極子許容遷移の発光面積の比と相関することが明らかになった。一般に、Eu(III)錯体における発光スペクトル形状は配位幾何学構造および配位子から金属への電荷移動(LMCT)遷移の摂動により議論される。単結晶構造解析および量子化学計算の結果、キラルβ-ジケトナト配位子とアンモニウムカチオンの種類に依存して配位幾何学構造およびLMCT特性が変化していることが明らかになった。 研究期間全体を通じて、キラルEu(III)錯体および配位高分子のLMCT特性を制御することが円偏光発光特性に大きく影響を与えることを明らかにした。
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Research Products
(2 results)