2023 Fiscal Year Annual Research Report
隕石に含まれる始原的物質の希ガスイメージングによる原始太陽活動の研究
Project/Area Number |
22KJ0026
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
和田 壮平 北海道大学, 理学院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 宇宙化学 / 地球化学 / 初期太陽系 / コンドライト / 希ガス / 太陽風 / 質量分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
太陽風希ガスを豊富に含む隕石(ガスリッチ隕石)は、母天体の表層で太陽風照射された物質を多く含んでいる。ガスリッチ隕石中の太陽風起源希ガスを含む鉱物を特定し、その鉱物内の太陽風希ガス分布を解明することで、過去の太陽活動や隕石母天体表層環境に関する知見を得られる可能性がある。本研究では、開発したヘリウムの広領域イメージングシステムを用いて、ガスリッチ炭素質隕石Northwest Africa 801 (NWA 801)中の太陽風ヘリウム分布を観察した。広領域イメージングの結果、太陽風ヘリウムはコンドリュールからは検出されず、隕石のマトリクス部分から検出された。マトリクス中のヘリウムは、太陽風ヘリウムが検出されない塊状の部分の間隙を、太陽風ヘリウムが検出される部分が埋めるような構造を示した。これは、隕石母天体上で、太陽風に曝された表層の砂が、地下の固結したレキ状の物質の間に入り込んだことを示している。ガスリッチ隕石の広領域ヘリウムイメージングによって、隕石母天体の堆積構造を可視化した。また、太陽風ヘリウムが隕石マトリクス中の金属鉄・硫化鉄・水酸化鉄粒子に特に濃集していることを突き止めた。ヘリウムが濃集している各粒子へ超高空間分解能でのヘリウムイメージングを行うことで、鉱物のリム部分にヘリウムが濃集していることを示し、鉱物粒子に含まれるヘリウムが母天体での太陽風打ち込みに由来することを明らかにした。取得した超高空間分解能ヘリウムイメージから、鉱物粒子ひとつひとつの太陽風ヘリウム照射量を定量した結果、NWA 801隕石中の鉱物粒子間の太陽風ヘリウム照射量には50倍程度のバリエーションがあることが判明した。NWA 801隕石中の鉱物粒子が示す太陽風ヘリウム照射量のバリエーションは、NWA 801母天体で起こったレゴリスのガーデニングに由来する。以上の結果をまとめた論文を準備中である。
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Research Products
(1 results)