2022 Fiscal Year Annual Research Report
Carbon dioxide reduced valuable products synthesis by sunlight and wastewater as energy sources
Project/Area Number |
22J10900
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松尾 稜介 北海道大学, 大学院工学院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | 無機-有機ハイブリッドシステム / 二酸化炭素還元有価物合成 / 光触媒電極 / 複合金属ナノ酸化物半導体ZnO/CuO / バイオ光アノード / 有機物分解 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,太陽光を用いて下水を補助エネルギー源とし,光エネルギーを用いて水を分解し還元力を得る光触媒反応と,その還元力により二酸化炭素還元有価物を合成する微生物反応を統合した無機-有機ハイブリッド二酸化炭素還元有価物合成システムを構築することである.本システムの重要な要素である光触媒電極に関して検討を行った.複合金属ナノ酸化物半導体ZnO/CuOは安価で豊富に存在し,導電性が高く,加工が容易であることから光触媒電極として注目されている.しかし,この材料を水分解反応に供するとき安定性が課題となる.電極は水分解を担うが,この水分解に高いエネルギーが必要になることが原因の一つである.本研究では,この水分解の代わりにエネルギーが低くても反応可能な有機物分解を利用した.光触媒単体では有機物分解を行うことが難しいため,有機物を分解する時に電気を生産する微生物を生物触媒として加えた.また有機物としてモデル反応物の乳酸を用いた.さらに,電極の安定性向上のため,メラミンと電極を共に煆焼し,窒化炭素を表面に付与することを試みた.生物触媒を加えて光を照射した系(バイオ光アノード)は生物触媒を加えた系(バイオアノード)と比較して3.5倍,電極のみの系(非生物アノード)と比較して9倍の水素生成速度を示した.このことから微生物の植菌と光照射が水素生成を促進することが明らかになった.また,バイオ光アノードは2日間安定的な電流生成を示した.これはこれまで数時間オーダーであったZnOベースの非生物光触媒電極と比較して優れた安定性であった.以上の結果は,安定性が課題とされてきたZnOベースの電極の応用可能性を大きく前進させる重要な知見である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的達成までに主に4つの段階がある.(1)複合金属ナノ酸化物半導体ZnO/CuOの作成,(2)複合金属ナノ酸化物半導体ZnO/CuOの安定性向上および水素生成,(3)二酸化炭素還元有価物合成系との統合,そして(4)バイオ光アノードの反応を乳酸分解から下水分解に置き換えることである.(1)と(2)は達成しており,(2)に関して第57回日本水環境学会年会で発表を行なった.今後二酸化炭素還元有価物合成系との統合を行う予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに構築したバイオ光アノードと二酸化炭素還元有価物合成を行うバイオカソードを統合する.バイオカソードはグラファイトフェルトとホモ酢酸生成細菌(Sporomusa ovata)を統合したものを用いる.バイオ光アノードとバイオカソードを統合したのち,アノード反応を乳酸分解から下水分解に置き換え,下水と太陽光をエネルギー源とした二酸化炭素還元有価物合成システムの構築可能性を検討する.
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