2023 Fiscal Year Annual Research Report
太陽光と下水をエネルギー源とした二酸化炭素還元有価物合成システムの構築
Project/Area Number |
22KJ0061
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松尾 稜介 北海道大学, 大学院工学院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 微生物光電気化学セル / 水素生成 / バイオ光アノード / 光触媒電極 / 有機物分解 / ZnO/CuO / 半人工光合成 / CO2還元有価物合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,太陽光を用いて下水を補助エネルギー源とし,光エネルギーを用いて水を分解し還元力を得る光触媒反応と,その還元力により二酸化炭素還元有価物を合成する微生物反応を統合した無機-有機ハイブリッド二酸化炭素還元有価物合成システムを構築することである. 光触媒は光エネルギーを用いて水を分解し還元力を得る.本システムを構成する重要な要素の光触媒電極として表面に3次元ナノ構造を有する複合金属ナノ酸化物半導体ZnO/CuOをガルバニック水中結晶光合成により作製した.その作製条件や水素ガス生成能,微生物との統合可能性について検討し,論文として発表した. 複合金属ナノ酸化物半導体ZnO/CuOを無機-有機ハイブリッド二酸化炭素還元有価物合成システムに応用するためにはアノード反応を酸化還元電位の高い水分解から酸化還元電位の低い有機物分解に変換することが重要である.そこで,下水(有機物)をエネルギー源とするために複合金属ナノ酸化物半導体ZnO/CuOと微生物の統合を行った.複合金属ナノ酸化物半導体ZnO/CuOと微生物を統合する時には,ZnイオンやCuイオンの溶出による微生物の阻害が予想される.安定性を向上させるために電極を改変しCuイオンとZnイオンの溶出を防ぐことに成功した.改変した電極と微生物を統合したバイオ光アノードは有機物分解を可能とし,対極で水素を生成した.この水素生成はバイオ光アノードへの光照射により促進されることが分かり,光エネルギーと有機物の持つエネルギーを用いて還元力を得ることに成功したと言える.これにより,二酸化炭素還元を行う微生物反応への還元力の供給が可能となり,無機-有機ハイブリッド二酸化炭素還元有価物合成システムの構築可能性が示された.
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