2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22J10910
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松永 隆正 北海道大学, 農学院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | 融雪地すべり / 警戒指標 / 地表面到達水量 / 実効雨量 / 熱収支法 |
Outline of Annual Research Achievements |
積雪地域では,多量の融雪水の浸透に伴う地すべり(融雪地すべり)が多発している。融雪地すべりの被害の防止・軽減には,警戒避難に資する指標が必要である。しかし,広域的かつ時間単位での融雪水量の把握が難しいこと,降雨・融雪水の地盤内への浸透時間を考慮できないという課題から,融雪地すべりに対する予防的な警戒避難は行われていない。そこで本研究では,新潟県上越・中越地方を対象として融雪を考慮した水文指標に基づく広域的な融雪地すべり警戒指標設定手法の検討を行う。 令和4年度は,解析雨量やメソ数値予報モデルなどの面的な気象データのみから任意の地点の最終的に地表面に到達した全ての水量(地表面到達水量,MR)を熱収支法に基づき算定するモデルを構築した。モデルの妥当性を検証するため,新潟県妙高市新井地区に位置する土木研究所雪崩・地すべり研究センターの斜面ライシメータで計測されたMRと比較を行った。その結果,MRの経時変化を概ね精度よく再現できることが分かった。続いて,1988年から2021年の12月から5月の冬期に発生した760事例の融雪地すべりを対象に水文指標に基づく融雪地すべり警戒指標の設定を行った。水文指標には,地すべりの滑動と良好な相関が報告されている実効雨量を用いた。本研究では,融雪の影響を考慮するために降水量の代わりにMRを用い,複数の半減期(1,6,12,24,48,96,168,336,504,720,1080,1440h)を設定した実効MRとして算出した。さらに実効MRの標準得点を1時間ごとに求め,時々刻々の標準得点が対象とする地すべり災害の7割を捕捉する標準得点を超過した期間が最も短い半減期(最適半減期)を求めた。その結果,最適半減期は504hであり,土砂災害に対する警戒避難を判断する際に一般的に用いられる半減期(72h)よりもかなり長いことが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
解析雨量やメソ数値予報モデルなどの面的な気象データのみから任意の地点の最終的に地表面に到達した全ての水量(地表面到達水量)を熱収支法に基づき算定するモデルの構築を完了したため。さらに構築したモデルに基づき,対象とする地すべり発生地点における時々刻々の水文指標の算定が完了しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,融雪地すべりの発生時期や地域,地質,地質時代,地すべりの規模(流出土砂量)毎に警戒指標を設定するなどさらなる解析を行うとともに,地すべり要警戒期間の短い警戒指標の検討を引き続き行う。また,令和4年度に構築した地表面到達水量算定モデルに関する論文を6月までに投稿予定である。
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Research Products
(2 results)