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2022 Fiscal Year Annual Research Report

オナガザル類の混群形成要因の解明:ゲノム浸透と社会マイクロバイオームに着目して

Research Project

Project/Area Number 22J21955
Allocation TypeSingle-year Grants
Research InstitutionHokkaido University

Principal Investigator

北山 遼  北海道大学, 環境科学院, 特別研究員(DC1)

Project Period (FY) 2022-04-22 – 2025-03-31
Keywordsアカオザル / ブルーモンキー / 混群 / 遺伝子浸透 / 社会マイクロバイオーム / ウガンダ共和国 / カリンズ森林
Outline of Annual Research Achievements

異種が単一の群れを形成する現象は混群と呼ばれる。競争関係にあるはずの異種が共存する混群は、利益と同時に不利益も享受しながら集団で生活する群れという形質の適応的意義を考える上で重要な現象である。アフリカに生息するアカオザルとブルーモンキーも複数の地域で混群をつくることが知られている。しかし、混群をつくらない群れとの比較がほとんどないことや、先行研究が行動生態学的なものに限られていることから、2種の混群形成のメカニズムはよくわかっていない。本研究では、ウガンダ共和国・カリンズ森林に生息するアカオザルとブルーモンキーの混群を対象に、これまでの混群研究では注目されてこなかった集団遺伝学的な立場からこれを解明することを目的とした。アカオザルとブルーモンキーは地域によって種間交雑することが知られている。この観察事実から、混群が遺伝的な単位として機能しうる可能性を考えた。混群を形成する集団において、過去に生じた交雑によって適応的な遺伝子(ゲノム)が選択的に浸透しているのではないか、また現在においても適応的な腸内細菌(メタゲノム)が種間で伝播しているのではいかという仮説を立てた。この仮説をカリンズ森林の混群集団で検証する。本年度は、カリンズ森林の混群をつくるアカオザルとブルーモンキー集団(RN群とBN群)内で示唆された、アカオザルからブルーモンキーへの遺伝子浸透について、第70回日本生態学会大会でポスター発表をおこなった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本年度はウガンダ共和国での調査の基盤形成が主題となった。2022年7月17日から2023年1月17日の期間でウガンダ共和国に渡航した。カリンズ森林では合計118日間、森林内でサルの追跡調査をおこなった。混群を形成するアカオザルRN群とブルーモンキーBN群をメインの追跡対象とし、群れ追跡と個体追跡を併用してサルの行動観察および遺伝試料(非侵襲的に採取したサル糞便)のサンプリングをおこなった。行動観察では、追跡対象群の混群形成頻度の調査、(種内および種間の)個体間相互作用の記録、サルの採食品目の記録をおこなった。調査期間中に、あまり混群を形成しないアカオザルの群れ(RM群)を発見し、群れと個体の識別を進め、新たに継続調査対象群として加えることができた。森林内での行動観察だけでなく、首都カンパラ市のマケレレ大学にて、現地の共同研究者の協力のもと分子実験も実施し、カリンズ森林で採取されたサルのサンプルからゲノム解析用のライブラリ作成実験もおこなうことができた。
半年間の調査を通して、森林内でのフィールドワークだけでなく、現地での実験のための基盤、今後の継続的な協力体制を現地のカウンターパートとともに構築することができた。加えて、新たな調査対象群の発見などもできたため、総合的に見て、研究は概ね順調に進展していると考えている。

Strategy for Future Research Activity

混群の形成メカニズムを検証する上で、混群の形成頻度に違いのある群れを比較することは重要である。2022年度の調査では同じ群れにおける混群形成頻度の時間的な変化を記録することには成功したが、複数の群れについて比較することはできていない。当初は2種の混群形成があまり起こらない別地域のアカオザルとブルーモンキーの群れを比較対象にしようと考えていたが、RM群の発見によって同じ地域集団内(群れ間で生息環境に大きな違いがない)で比較することができるようになった。そこで、2023年度も継続してウガンダ共和国に渡航し、カリンズ森林での追加調査をおこなう予定である。RN群・RM群・BN群を対象として、行動観察と遺伝試料のサンプリングをおこない、群れ内・群れ間の行動および遺伝子の詳細な比較研究を進める。
また、2022年度の日本生態学会大会で発表したカリンズ森林の2種間の遺伝子浸透についての結果をまとめ、本年度中に国際誌に論文として発表することを計画している。

  • Research Products

    (1 results)

All 2023

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] オナガザル科グエノン類の混群形成集団における遺伝子浸透2023

    • Author(s)
      北山遼, 峠明杜, 橋本千絵, 五百部裕, 今井啓雄, 古市剛史, 早川卓志
    • Organizer
      第70回日本生態学会

URL: 

Published: 2023-12-25  

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