2022 Fiscal Year Annual Research Report
無容器法による希土類酸化物高含有ガラスの創製と設計指針の確立
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22J14034
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
佐々木 俊太 弘前大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | ガラス / 希土類 / 磁気光学特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、希土類酸化物を高濃度に含有したガラスにおける、物性、特に磁気光学特性と組成や構造との相関を明らかにすることを目指している。希土類酸化物を含有したガラスは、優れた磁気光学特性を示すが、希土類酸化物を高濃度に含む組成では、ガラス合成が困難であった。しかしながら、研究代表者らは、これまでに無容器法を利用して合成した希土類ホウ酸R2O3-B2O3二元系組成でのガラス合成に成功した。これらのガラス組成について、磁気光学特性としてファラデー回転角を測定した。その結果、Pr, Tb, Dyを含む組成では一般に応用されているTb3GaO12を大きく上回るファラデー回転角を示し、その特性は、希土類酸化物含有量と比例して増大していることを確認した。また希土類酸化物高含有ガラス組成の探索として、新たにR2O3-SiO2二元系組成やLa2O3-Y2O3-B2O3などの希土類ホウ酸三元系組成などのガラス化範囲を探索した。La2O3-Y2O3-B2O3三元系の構造解析からB2O3含有量を一定とすると、La2O3とY2O3の割合を変更することで、ホウ素周囲の構造が系統的に変化していることを見出した。希土類ホウ酸R二元系ガラスについては、熱間圧縮処理による高密度化を試みたため、得られたサンプルについて今後物性評価、構造解析を実施する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
希土類酸化物高含有ガラス組成の探索としてR2O3-SiO2二元系とLa2O3-Y2O3-B2O3組成などの希土類ホウ酸三元系のガラス化を試みた。これによりガラス化範囲の探索をおおむね順調に完了した。これらの組成の構造解析も問題なく進行している。希土類ホウ酸ガラスのファラデー回転角の測定を実施した。これについては当初の想定よりも良いペースで実験が進行している。ガラスの高密度化については、当初ダイヤモンドアンビルでの高圧処理を予定していたが、予定を変更して、熱間圧縮処理によるアプローチを試みた。その結果、いくつかの組成で高圧負荷されたサンプルの取得に成功している。当初は、高密度の成功に相当の時間を要すると考えていたため、順調に進んでいるといえる。MDシミュレーションによる構造モデルの作成はLa2O3-B2O3組成をもとに進めているが、当初の予定では、今年度中にこの結果をもとにこのほかの組成にも発展する予定であったため、多少遅れている。総合的にはおおむね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
R2O3-B2O3二元系ガラスの内、特にTb2O3-B2O3,Pr2O3-B2O3ガラスの磁化測定を実施し、これらのガラスの磁性を評価する。これをもとに磁性、磁気光学特性のデータと組成や構造の相関を評価する。構造モデルの作成を促進するため、MDシミュレーションのパラメータの最適化に加えて、RMCなどを取り入れる。新たに合成したLa2O3-Y2O3-B2O3三元系組成では、B2O3含有量を一定とすると、La2O3とY2O3の割合を変更することで、ホウ素周囲の構造が系統的に変化していることを見出した。そのため、当初の予定とは一部変更して、この構造変化にも重点を置いて、構造制御の可能性を探る。高密度化したサンプルの物性評価、構造解析を実施し、高密度化による影響を調べる
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