2023 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of Escherichia coli survival conditions focusing on eutrophic lake and development of its dynamic model reflecting these conditions
Project/Area Number |
22KJ0149
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
米田 一路 岩手大学, 連合農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Keywords | 大腸菌 / 水・底質モニタリング / 死滅速度 / 予測モデル / 底質項目 / 水質項目 / 水環境 / 湖沼 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に実施した水中における大腸菌の生存を評価する室内実験の結果から,水中での大腸菌の死滅速度を予測するモデルを,明条件と暗条件のそれぞれについて重回帰,サポートベクター回帰,ランダムフォレスト回帰,ニューラルネットワーク回帰を用いて,予測モデルを複数構築した。その結果,明条件では説明変数としてDO,溶存有機物,光,相互作用(pHと光,溶存有機物と光)を考慮したニューラルネットワーク回帰モデル,暗条件では,温度,pH,溶存有機物,共存微生物の存在,相互作用(温度と共存微生物,溶存有機物と共存微生物)を考慮したサポートベクター回帰モデルが,大腸菌の死滅速度の予測に最適なモデルとして選定できた。そして,構築したモデルの感度分析により,暗条件,低温,中性,低溶存有機物濃度の時に大腸菌が生存しやすいことが示された。 さらに本年度は,湖沼底泥における大腸菌の生存に大きな影響を与える底質項目を特定するために,温度,pH,溶存有機物,共存微生物の存在,サンプリング地点(粒径組成等)の中から2つの項目を変化させながら,底泥における大腸菌の生存を評価した。その結果,底泥における大腸菌の生存には,pHが最も大きな影響を与え,その次に共存微生物の存在,サンプリング地点,温度,溶存有機物が影響を与えることが分かった。この結果を用いて,先述した4種の回帰手法により,底泥における大腸菌の死滅速度予測モデルを複数構築した。結果として,温度,pH,相互作用(温度とpH,温度と共存微生物)を考慮した重回帰モデルが,大腸菌の死滅速度の予測に最適なモデルとして選定できた。この構築したモデルの感度分析を行った結果,低温度でpHが中性の底泥で,大腸菌が長期間生存しやすいことが確認できた。2024年度は,これらの構築した大腸菌の死滅速度予測モデルを反映した大腸菌動態モデルの開発を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度に実施した水中での大腸菌の生存を評価する室内実験と,今年度に実施した底泥での大腸菌の生存を評価する室内実験の結果をもとに,水中と底泥中における大腸菌の死滅速度予測モデルを構築できており,今年度に予定していた計画通りおおむね研究を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は,これまでに構築した水中と底泥中における大腸菌の死滅速度予測モデルを反映した大腸菌動態モデルを開発し,農業用ため池における水・底質モニタリング結果を用いてモデルの精度評価を行う予定である。 また,水中および底泥中における大腸菌の生存を評価する室内実験,および構築した大腸菌の死滅速度予測モデルの結果については,それぞれ国際雑誌への投稿に向けて準備中である。
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