2022 Fiscal Year Annual Research Report
霊長類小脳ー大脳皮質回路における認知・感覚・運動機能への小脳入力の役割解明
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20J40069
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
別府 薫 東北大学, 医学系研究科, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2020-07-01 – 2025-03-31
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Keywords | スパイクソーティング / 神経局所回路 / 小脳 / 大脳皮質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、小脳ー大脳の神経連絡が動物の認知行動に及ぼす影響を調べる。小脳は、大脳皮質と連携しながら、運動の学習や制御といった役割を担うのみならず、認知機能にも関与する 。霊長類を用いた解剖学的研究から、大脳皮質のほぼ全体が、それぞれ小脳の異なる領域と神経ループを形成していることが示されている。しかし、小脳から大脳皮質への神経作用が、大脳皮質の神経活動や動物の運動行動にどのような役割を担うのか、明らかではない。そこで本研究では、認知行動タスクを行うサルから大脳皮質の神経活動を電気記録し、小脳核を光刺激によって神経活動亢進させた場合の、大脳皮質の発火パターン変化や脳波同期性の変化について調べる。 本年度は、小脳神経核を特異的に刺激するために、小脳核の上方に位置する後頭葉から電気記録用の針電極を下ろし、小脳皮質、小脳核の領域を特定する手法を確立した。また、ウイルス感染法によって小脳核に光感受性CHR2を発現させる手法を確立した。現在は1頭のサルにおいて、頭蓋骨上にチャンバー留置し、チャンバー内の骨を開頭する手術を行った。そのサルを用いて、小脳核へ針電極を下して電気記録する実験を行っている。 また、大脳皮質の各層に局在する神経細胞を多数同時記録して解析するために、Kilosort, Phy、Matlabを駆使した解析手法を確立した。スパイクソーティング法や相互相関解析法を用いることにより、大脳皮質の各層における神経発火パターンが、動物の感覚・運動の情報処理にどのような機能をもつのか、小脳からの入力を光操作した場合にどのようなモジュレーションがかかるのかを今後明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、サルの大脳皮質の各層から多点電気記録を行い、小脳核をCHR2光刺激した場合の影響を調べる研究を遂行しており、おおむね順調に進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、当初の計画通り、現在遂行している研究を推進する。具体的には、現在、認知行動タスクをトレーニングしているサルの大脳皮質に多点電極を留置し、小脳核にはChR2ウイルスインジェクションを行う。小脳光刺激による大脳皮質の神経発火パターンへの影響や、脳波の同期生の変化などを解析する。そして、認知行動への影響を調べる。
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Research Products
(1 results)