2023 Fiscal Year Research-status Report
霊長類小脳ー大脳皮質回路における認知・感覚・運動機能への小脳入力の役割解明
Project/Area Number |
22KJ0153
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
別府 薫 東北大学, 医学系研究科, 特別研究員(RPD)
|
Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
|
Keywords | 小脳 / 大脳 / 脳波 / チャネルロドプシン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、小脳から大脳皮質への神経入力が、大脳皮質の神経活動に与える影響と、動物の認知行動学習に与える影響を調べる。手法として、光遺伝学を用いて小脳の神経活動を興奮させた場合の、大脳皮質における神経集合電位変化やネットワーク変化を電気記録する。 本年度は、2頭のサルを用いてウイルスインジェクションによって小脳核にChR2を発現させた。これらのサルには、大脳皮質の前頭眼野 から一次運動野にかけて、32極の多点電極を脳表に慢性留置する手術を行った。頭蓋骨越しに小脳を高頻度磁気刺激することで、大脳皮質の一次運動野や頭頂葉皮質の神経活動が変わることや(Casula et al., 2016)、統合失調症患者の小脳磁器刺激によって病態が緩和することが報告されている(Zhu et al., 2021).本実験では、小脳核光刺激を1Hzから100Hzまで異なる周波数で刺激し、その際の大脳皮質集合電位変化への影響を解析することで、小脳入力の周波数の違いによる大脳皮質運動野の神経活動への影響を調べる。小脳は統合失調症や自閉症などの精神疾患に関与することが報告されているが、その神経回路メカニズムは不明である。本研究において、小脳の周波数依存的な活動が大脳皮質の活動にどのような影響を与えるか、といった知見を、病態の研究に発展させることにより、小脳-大脳連関の生理的な機能に及ばず、病態学的な理解にまで発展させることができると考えている。本年度の研究成果は、2023年神経科学大会にてポスター発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は、2頭のサルで開頭手術を行い、小脳核をChR2光刺激した際の、大脳皮質前頭眼野から一次運動野における脳波応答を記録した。小脳核の光刺激を1Hzから100Hzまで異なる周波数で刺激し、その際の大脳皮質集合電位変化への影響を解析することで、小脳入力の周波数依存的な大脳皮質神経活動への影響を調べている。本年度は、必要な実験データをすべて取り終え、来年度はこれらのデータ解析と研究結果をまとめる作業に入る。以上の理由から、当初の計画以上に進展していると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は、実験動物より作製した脳標本を用いて、CHR2の発現領域を特定する組織学的解析を行う。そして、研究成果をまとめて学会発表し、論文投稿の準備を進める。
|
Causes of Carryover |
本研究に必要な物品は、すべて本研究費を使用した。残額は、次年度に物品費として使用する。
|
Research Products
(1 results)