2023 Fiscal Year Annual Research Report
連接層の導来圏における変形とBridgelandの安定性条件
Project/Area Number |
22KJ0180
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
尾関 諒介 東北大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 特性多項式 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続きTRトレースと呼ばれるスペクトラムの間の射に関連する研究を行った。TRトレースとは巡回K理論から位相的制限ホモロジーへのスペクトラムの間の射として構成されるものであり、線形代数で扱う特性多項式のホモトピー論的な一般化とみなせるものである。今年度得られた結果として、巡回K理論の構成の中に現れる自己準同型圏の構成を冪等完備安定無限小圏(コンパクト生成安定無限圏)から双対可能安定無限圏まで拡張できたというものが挙げられる。
所謂Eilenberg-Swindleの議論によりK理論の定義範囲は冪等完備安定無限小圏、すなわちコンパクト生成安定無限圏に限られてしまっていたが、近年Efimovによりその適用範囲を双対可能安定無限圏まで拡張できることが示されていた。コンパクト生成でない双対可能安定無限圏には進環の核加群の圏や局所コンパクトハウスドルフ空間上の層の圏など重要な例が含まれており、特に核加群の圏のEfimov K理論は切除K理論の射影極限と同値になるなどの結果が報告されている。このような背景から双対可能安定無限圏に対しても巡回K理論の構成を与えようという自然な要請がなされていた。冪等完備安定無限小圏Cの巡回K理論はCの自己準同型圏、End(C)の被約K理論として定義されるため、双対可能安定無限圏に対する自己準同型圏の構成を与えればよい。今年度、無限2圏論や双対可能安定無限圏論などここ数年で発表された理論や技法を用いて自己準同型圏の構成を自然に双対可能安定無限圏にまで拡張することができた。
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