2021 Fiscal Year Annual Research Report
巨礫堆積物と確率台風モデルによる北西太平洋における古台風の最大強度分布の解明
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21J22319
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
南舘 健太 東北大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | 沿岸巨礫堆積物 / 波浪 / 台風 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,琉球列島と伊豆諸島を対象として,以下の調査研究を行なった.鹿児島県奄美大島,東京都八丈島において,現地調査を行なった.現地調査では,沿岸巨礫堆積物の空間分布の観察,サイズの記載,巨礫片の体積と質量の計測,GPSの取得等を行なうとともに,地形測量を行なった.奄美大島では,現生のリーフ上にそれと同質な巨礫が分布していた.八丈島では,火山岩質の海岸上にそれと同質な巨礫がインブリケーションを呈しながら分布していた.奄美大島,久高島,久米島,与那国島を対象に数値波浪計算を実施した.巨礫の特徴と数値計算の結果から,奄美大島,久高島,久米島,与那国島の巨礫は,共通してサンゴ礁の縁(リーフエッジ)から約300メートル以内にのみ分布する一方で,分布距離の確率密度分布は数十メートル程度異なることがわかった.さらに,巨礫分布が高波の波高減衰と調和的であることが確認された.これらの結果は,対象地域の巨礫分布が過去の高波によって形成されたことを示唆する.また,奄美大島あやまる岬の巨礫を対象として,巨礫移動に関する百シナリオ以上の数値計算を実施し,巨礫分布を説明する高波規模について検討した.推定された波浪条件は,同様の手法を用いて久高島を対象に推定された波浪条件と比較された.奄美大島の巨礫とリーフから採取した試料の一部について,XRD分析,放射性炭素年代測定を行なった.これらの成果の一部は,2021年度津波堆積物研究会において発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現地調査により複数地域の巨礫堆積物のサイズ・空間分布を収集し,比較することができた.新型コロナウイルス蔓延により調査計画の一部変更を余儀なくされているものの,柔軟な対応により調査や数値計算を実施できており,全体としておおむね順調に進展していると判断される.
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Strategy for Future Research Activity |
調査地域を追加し,次年度も継続して現地調査を行う.台風・波浪・堆積物移動に関する数値計算により,各地域の巨礫分布を説明する波浪と台風の規模推定を行う.XRD等の分析,年代測定を実施する.
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