2023 Fiscal Year Annual Research Report
キラルブレンステッド酸触媒による励起カチオン種発生に基づく不斉ラジカル反応の開発
Project/Area Number |
22KJ0202
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
相澤 佑季 東北大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | キラルリン酸 / 単純オレフィン / 光反応 / 励起カチオン種 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究は、温和でメタルフリーな反応条件下、安価で豊富な化学原料から高付加価値な化合物を構築する環境調和型な分子変換法の確立を目指し、従来困難であったキラルブレンステッド酸触媒による非極性官能基の不斉変換を可能とする新たな触媒反応系の開発を目的としている。励起状態にある化合物は酸化・還元の特性を示し、基底状態では進行することが困難な変換を可能とする。特にカチオン種は、その高い電子受容性から、励起状態において高い酸化力を有することが想定される。また励起カチオン種への一電子移動によって生じるラジカルカチオン種は隣接位のsp3炭素-水素結合の酸性度が非常に高くなるため、酸触媒の共役塩基によって引き抜くことができると考えられる。そこでキラルブレンステッド酸触媒の作用によって生じる有機カチオン中間体を光励起することで一電子酸化剤として機能させた。またキラルブレンステッド酸触媒が構築する不斉反応場のもと立体選択的に反応が進行すれば、豊富な化学原料から高付加価値な光学活性化合物へと変換できる強力な手法になると期待し検討を進めてきた。 ヘミアミナールを有機カチオン前駆体として利用し、キラルリン酸触媒の作用によって容易に発生するイミニウム中間体を光励起することで、強力な一電子酸化剤として機能させることにした。検討の結果、光照射下、ドナー分子として入手容易な単純オレフィンを用いた際に、当初の想定とは異なる結果であったが、過酸化物が高いエナンチオ選択性で得られることを見出した。 また、上記に併せ、高い酸化力を有するカチオン性光触媒を光酸発生剤として利用した反応開発を行った。検討の結果、光触媒としてピリリウム塩ををちいることで、種々単純オレフィンのラジカル付加が進行することを見出した。またこの際、添加剤を検討することで、多置換オレフィンの位置選択的な付加を可能にする重要な知見が得られた。
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