2023 Fiscal Year Annual Research Report
機械学習による進化分子工学の加速:抗体分子の機能創出を目指して
Project/Area Number |
22KJ0218
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
河田 早矢 東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 進化分子工学 / タンパク質 / 抗体 / ファージ提示法 / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、実験的に作製できる限られた数の変異タンパク質集団のデータを手がかりに、理論上存在し得る膨大な種類の変異体(配列空間)の機能指向を機械学習により予測することで、分子標的薬として利用可能な結合機能をもつ抗体タンパク質を確実に創出できる進化分子工学プロセスの開発を目標としている。昨年度は、次世代シーケンサー(NGS)解析を活用した機械学習データ作成および機械学習によるアミノ酸配列空間の機能指向予測を行い、本研究プロセスの有効性を示した。そこで本年度は、プロセスの最適化に向けて機械学習データに用いる変異体集団の検討を行い、結合機能抗体創出プロセスの改善を行った。 まず、相補性決定領域にランダム変異導入した抗体断片提示ファージライブラリーを作製し、標的分子に対する結合選択操作を4回行うことで結合陽性変異体を濃縮させた。次に、昨年度開発したNGS解析による学習データ作成法を用いて、各回の選択操作後変異体群を基に、各変異体の占有率情報を結合機能と見立てた学習データを作成した。作成した各学習データを用いて機械学習予測を行い、予測結果の違いを比較したところ、結合陽性だけでなく結合陰性変異体の情報も含んでいる変異体集団が、機能未知変異体の結合機能を高確度で予測できる学習データとして適している可能性を見出した。そこで、 学習データに適していると判断した変異体集団を基に、配列空間の機能指向を機械学習予測した結果、高結合力を発現すると予測された変異体群には特定のアミノ酸が高頻度で出現していた。機械学習が提案した有望アミノ酸から成る変異体を実際に作製し活性評価を行ったところ、従来法により取得した変異体よりも70倍程度結合力の高い変異体を発見できた。以上の結果から、学習データに適した変異体集団を用いることで、アミノ酸配列空間中から結合力の高い抗体を創出できるプロセスとなり得る可能性が示された。
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Research Products
(2 results)