2022 Fiscal Year Annual Research Report
Integrated Design of Carbon-Neutral Energy Systems Considering Sector-coupling and Energy Trade
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22J10671
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小野寺 弘晃 東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | エネルギーシステム / Power-to-X / 再生可能エネルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
はじめに、脱炭素技術への公共投資および需給調整の事業性を考慮可能なエネルギーシステムモデルを開発した。モデルは、エネルギーシステムの構築に係る総コストを最小化する大規模線形計画問題として定式化され、内点法などのアルゴリズムによって求解可能であることを検証した。 次に、開発したモデルを用いて、公共投資を外生的に与えた場合のエネルギーシステムの構造およびシステムコストへの影響を観察した。その結果、特定の技術への公的投資が競合技術の導入を抑制し、補完的技術の導入を促進することが確認された。このことから、社会受容性などの非技術依存制約により特定の技術の導入が制限される場合などにおいて、公共投資は政府が目標とするシステムの構造に誘導できる可能性が示された。 次に、需給調整オプションの一つとして注目されるPower-to-X (P2X)について、LCOX (平準化製造原価)の感度解析を実施し、そのコスト特性を評価した。このコスト特性に基づき、損益分岐点を実施し、事業性成立条件を検討した。具体的には、一定の燃料供給コストを達成するために求められるP2Xの設備利用率を評価した。さらに、前述のエネルギーシステムモデルにおいて、事業性成立条件を付与した場合と付与しない場合のケーススタディを実施し、事業性成立条件が考慮されない場合にシステムコストが過少に評価される可能性があることを示した。また、両ケースでP2Xの需給調整力としての役割が異なることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究は、研究計画に従い、極めて順調に実施されている。さらに、研究計画の内容に加えて、研究目的に従い、地域レベルでの脱炭素エネルギーシステムを分析するための分析手法を開発している。本手法では、エネルギーシステムを他変数が相互依存する複雑システムとみなし、システムダイナミクス理論を応用してエネルギー需給をシミュレートし、多面的指標により統合評価する。具体的には、地域レベルでの再生可能エネルギー資源ポテンシャルや既設導入量、エネルギー需要推計値に基づいて、再生可能エネルギー導入量やエネルギー需要における電化、燃料代替、活動量増減などの需給両面の施策を想定したエネルギーシステムの構造をシミュレートし、CO2排出量やエネルギー自給率、エネルギー経済収支などを算出する。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに開発したエネルギーシステムモデルを市区町村粒度に拡張し、地域レベルでの再生可能エネルギーの利用と融通戦略を解析する。具体的には、システムコスト最小化を達成する再生可能エネルギー導入量、蓄電池導入量、エネルギー融通量および送電容量等を市区町村粒度で求解し、再生可能エネルギー導入の地域特性や、再生可能エネルギーの大量導入によって資源が分散したエネルギーシステムにおけるコスト効率的な送電ネットワークの在り方について分析・議論する。
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