2022 Fiscal Year Annual Research Report
受動的福祉用具を必要な時に必要な場所へ!介護施設で搬送ロボットがもたらす自立支援
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22J10961
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
DONG ZONGHAO 東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | 移動ロボット / 自立支援 / センサー融合 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,高齢者や障害を持つ人が介護サービスを受ける際に,人を介さず,ロボットを経由し,社会福祉や介護援助用具を必要な時に必要な場所へ届く革新的なロボットシステムを提案する.そのため,介護施設内でよく導入される受動的な搬送対象を着目し,どの様な種類の福祉用具でも一時に「ロボット化する」ことによって,ロボットが人間のように未知な対象物を搬送することができる自律移動搬送用ロボットの開発または制御システムを構築する.
前年度は,介護施設向けの自律移動搬送ロボットを試作した.また,深層学習を用いて福祉用具の搬送を実現するための制御手法を提案した.試作したロボットハードウェアは,垂直方向の変形する能力を持ち,なおかつ搬送対象を瞬時にクランプできる把持機構も有した.さらに, RGB-Dカメラ及び3D LiDARで収集した福祉用具の画像及び三次元点群をニューラルネットワークに入力し,福祉用具の種類の認識、理想的な把持位置についてそれぞれの深層学習モデルを作成した.検証実験では,介護施設でよく導入しているホロノミック車輪型福祉用具を対象物にし,搬送実験を行なった.
さらに,福祉用具への移乗や福祉用具使用開始時に生じる転倒リスクの低減を着目し,使用者の状態(位置,姿勢,運動などの情報)をRGB-Dカメラで把握できる状態認識システムを開発した.開発した状態認識システムは,使用者が最大6メートルの距離から最小0.5.メートルの距離まで人の状態認識・推定をすることができ,特に人が歩行車などの福祉用具を使う際に行なった立ち上がり動作の状態推定をリアルタイムで実行可能である.そのようなソフトウェアを搬送ロボットに実装することで,使用者がより安全かつ安心して福祉用具を使うことができ,介護士の負担軽減にも繋がる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの進捗とては,ハードウェアについて介護施設向けの自律移動搬送ロボットを試作した.また,ソフトウェア面については,深層学習を用いて福祉用具の搬送を実現するための制御手法を提案した.試作したロボットハードウェアは,垂直方向の変形する能力を持ち,なおかつ搬送対象を瞬時にクランプできる把持機構も有した.さらに, RGB-Dカメラ及び3D LiDARで収集した福祉用具の画像及び三次元点群をニューラルネットワークに入力し,福祉用具の種類の認識、理想的な把持位置についてそれぞれの深層学習モデルを作成した.検証実験では,介護施設でよく導入しているホロノミック車輪型福祉用具を対象物にし,搬送実験を行なった.また,研究成果の一部分を国内学会で発表した.
さらに,福祉用具への移乗や福祉用具使用開始時に生じる転倒リスクの低減を着目し,使用者の状態(位置,姿勢,運動などの情報)をRGB-Dカメラで把握できる状態認識システムを開発した.本課題では,国際共同研究として受入研究者である平田教授及びカナダのウォータールー大学ヒューマンセンタードロボティクス研究室のKatja Mombaur教授の共同指導において実施した.開発した状態認識システムは,使用者が最大6メートルの距離から最小0.5.メートルの距離まで人の状態認識・推定をすることができ,特に人が歩行車などの福祉用具を使う際に行なった立ち上がり動作の状態推定をリアルタイムで実行可能である.そのようなソフトウェアを搬送ロボットに実装することで,使用者がより安全かつ安心して福祉用具を使うことができ,介護士の負担軽減にも繋がる.共同研究の成果で国際共著論文を執筆し,2023 IEEE/RSJ International Conference on Intelligent Robots and Systems(IROS2023)に投稿した.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度では,前年度で開発したハードウェア及びソフトウェアをベースとし,搬送可能な福祉用具の種類を更に増加することを目的とする.そのため,まず介護現場でよく導入された福祉用具の種類を調査し,各用具の外型、2D画像、3D点群、最適把持点、ホロノミックシステムの有無などの情報を含むデータベースを構築する.データベースに登録してある既知のホロノミック車輪型福祉用具に対し,前年度で開発したシステムで搬送する.非ホロノミック車輪型福祉用具に対しては,移動拘束、力学条件を分析し,安定かつ円滑に対象物を終点まで届ける経路計画及び制御システムを提案する.さらに,データベースに登録していない未知な福祉用具でも搬送できるようにするため,対象物の種類、最適把持点、ホロノミックシステムの有無などの特徴を深層学習モデルでロボット自身に判断させる.搬送ロボットは福祉用具と一体化した後に,ホロノミックシステムの有無の条件で最適経路を計算し,搬送を行う.検証実験では,介護施設で導入している車輪型福祉用具を多数用意し,認識、把持、搬送の成功率を記録し,評価を行う.
追加課題として,前年度で開発した状態認識システムを搬送ロボットに実装する.搬送された福祉用具が使用者の居る場所に近づく時に状態認識を開始し,福祉用具を適切な場所へ最適な姿勢で使用者まで移動させる.また,使用者が福祉用具に移乗を開始した時点から,終了までにロボット全体にブレーキをかけ,福祉用具の意図しない動きを防ぐ.このように人が完全に移乗するまでに福祉用具を制御し続ければ,転倒防止などの事故に繋げる.
最後に,得られた研究成果を整理し,学術雑誌の投稿または学会発表を行う.
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