2023 Fiscal Year Annual Research Report
外部刺激に応じて集合的コロイド運動が誘起される粒子配列体による音調可視化への挑戦
Project/Area Number |
22KJ0247
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
波形 光 東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
|
Keywords | yolk-shell / コロイド結晶 / 交流電場 / ハイドロゲル / フォトニック結晶 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、フォトニック結晶の一種である、サイズの均一なコロイド粒子からなる規則集積体(コロイド結晶)について、外部からの刺激に対する応答性の獲得を目的とした。多くのコロイド結晶においては微粒子が最密に充填した構造を形成するため、その配列構造を変化させることが難しい。これにより、コロイド結晶が示す光学特性、即ち反射する光の波長および強度は不変であった。これに対して本研究では、可動性のコア粒子が中空の外殻内部に格納された形態を有する “卵型粒子” に着目し、同粒子を用いて集積体を作製することで、配列構造が可逆制御可能なコロイド結晶の作製を検討した。 今年度は柔軟性と加工性に優れたハイドロゲルを用いた粒子集積体の配列構造補強に取り組んだ。代表的な温度応答性ポリマーであるポリ(N-イソプロピルアクリルアミド) ゲルを粒子集積体の間隙で重合させることにより、水中で形成された粒子配列構造を乱すことなく外部へ取り出すことが可能となった他、ハイドロゲル由来の温度応答性の膨潤/収縮挙動は粒子集積体と複合化した後も発現することを確認した。このことは、粒子集積体が熱、ひいては親/疎水性に応じてその配列の周期性を変化させる、即ちそれらの刺激に応答して光学特性を変化させるために重要だと考える。また外側をハイドロゲルで補強した粒子集積体においてはその内部まで水が拡散可能であり、外側の外殻の配置をゲルで固定した後であっても内包するコア粒子は可動性を示すことを確認した。 昨年度までに明らかにした卵型粒子の運動性と光学特性については本年度、国際共著論文として投稿、受理された他、本年度に得られたハイドロゲルとコロイド結晶の複合膜についての研究結果も投稿論文として受理された。以上より本研究では、外部刺激に応じて光学特性をスイッチング可能な微粒子材料開発を達成した。
|