2022 Fiscal Year Annual Research Report
一重項酸素を活用した細胞内タンパク質間相互作用ダイナミクス解析法の創成
Project/Area Number |
22J13502
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中根 啓太 東北大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | 細胞内標識 / タンパク質化学修飾 / タンパク質間相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
タンパク質間相互作用は生命現象を司り、特定の刺激に応答し、特定の空間・特定の時間で起こるものが多く存在する。本申請では、短時間かつ局所空間で選択的に進行するタンパク質標識反応を応用することで、上記のような細胞内における動的なタンパク質間相互を検出する技術を確立する。 当該年度において、当初の計画に従い、細胞内における標識反応の高効率化、および細胞内の局所空間において光触媒を用いたタンパク質標識反応の制御を試みた。細胞内における標識反応を精査するため、当初予定していた光触媒のみならず、新たな光触媒を核に局在させた後、光照射を行うことで、標識反応を行った。その後、共焦点顕微鏡観察において、標識反応の進行を確認すると、複数の触媒および標識剤において、核選択的に標識反応が進行することを明らかにした。さらに、プロテオミクス解析におけるサンプル調製法についても種々検討を行い、生細胞よりタンパク質を抽出する手法、および標識されたタンパク質を精製して検出する手法を確立した。 一方で、光触媒構造に着目し、応用する光触媒的タンパク質標識反応を精査した。光触媒選定の過程において、一重項酸素産生により進行するヒスチジン残基標識反応を選択的に起こす光触媒構造、および一電子移動反応により進行するチロシン残基標識反応を選択的に触媒する光触媒構造を見出した。これらはいずれも細胞イメージングに用いられる蛍光色素でもあるため、触媒分子を用いることで細胞内イメージングを行いつつ、タンパク標識反応を進行させることができると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度において、当初の計画に従い、細胞内における標識反応の高効率化、および細胞内の局所空間において光触媒を用いたタンパク質標識反応の制御を試みた。細胞内における標識反応を精査するため、当初予定していた光触媒のみならず、新たな光触媒を核に局在させた後、光照射を行うことで、標識反応を行った。その後、共焦点顕微鏡観察において、標識反応の進行を確認すると、複数の触媒および標識剤において、核選択的に標識反応が進行することを明らかにできた。さらに、プロテオミクス解析におけるサンプル調製法についても種々検討を行い、生細胞よりタンパク質を抽出する手法、および標識されたタンパク質を精製して検出する手法を確立するに至った。 一方で、光触媒構造に着目し、応用する光触媒的タンパク質標識反応を精査した。光触媒選定の過程において、一重項酸素産生により進行するヒスチジン残基標識反応を選択的に起こす光触媒構造、および一電子移動反応により進行するチロシン残基標識反応を選択的に触媒する光触媒構造を見出すことに成功した。これらの触媒構造はいずれも細胞イメージングに用いられる蛍光色素でもあるため、触媒分子を用いることで細胞内イメージングを行いつつ、タンパク標識反応を進行させることができると期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度では、計画に従い、細胞内における標識反応の高効率化、および細胞内の局所空間において光触媒を用いたタンパク質標識反応の制御を試みた。細胞内における標識反応を精査するため、当初予定していた光触媒のみならず、新たな光触媒を核に局在させた後、光照射を行うことで、標識反応を行った。その後、共焦点顕微鏡観察において、標識反応の進行を確認すると、複数の触媒および標識剤において、核選択的に標識反応が進行することを明らかにできた。 次年度では、核選択的なタンパク質化学修飾反応によるプロテオミクスサンプル調製を行い、プロテオミクス解析を実施する。さらに、得られる結果をもとに、プロテオミクスサンプル調製法を精査する。一方で、得られた解析結果により、核におけるタンパク質間相互作用が検出されるか検証する。さらに、従来の手法と比較を行い、本手法の妥当性を評価する。 本手法が有用であることが明らかにされた後に、タンパク質間相互作用解析法を駆使することで、動的に変化する浸透圧刺激に応答するプロテアソームの核内液-液相分離の関連タンパク質の相互作用解析に取り組む。
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