2022 Fiscal Year Annual Research Report
超脆弱・狭隘空間内での非接触推進が可能な中空多層構造を有する柔剛切替え索状体
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22J14260
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
恩田 一生 東北大学, 情報科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | 柔剛切替機構 / 流体圧駆動 / ソフトアクチュエータ / フレキシブルロボット |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は加圧によって柔らかさと硬さを任意に切り替えることが可能な柔剛切替メカニズムの新たな方式として,ボール型ジョイントと円筒ゴムチューブを組み合わせた径方向膨張型と,椀型ジョイントと加圧時に収縮するマッキベン型ゴム人工筋肉を組み合わせた軸方向収縮型の2つを考案し,各関節の設計手法を構築した.これら考案機構は,加圧された単一チューブによる膨張力を摩擦力に変換することで,任意角度での関節の回転固定が可能である. 径方向膨張型はオスメス形状を有するボール型ジョイントを連結した構造にゴムチューブが内包されている.封入されたゴムチューブを膨張させたときに得る,ジョイント間の接触による摩擦力で高剛性化する. 径方向膨張型の設計手法構築のために,多関節構造の組み立て性や加圧時のチューブ伸びによる関節脱臼の防止,関節保持力についての理論導出,および多関節構造体と実験装置の設計製作,保持力の有限要素解析と実計測による定量評価を行った.そして,本成果を査読付き国際学術誌(RA-L)に投稿し,掲載済みである(2023年1月). 軸方向収縮型はオスメス形状を有する椀型のジョイントを連結した構造であり,関節内部には加圧することで収縮するゴム人工筋肉が封入されている.加圧時に人工筋肉による収縮力が発生することでジョイント同士が接触するため,同様に任意形状での姿勢維持が可能となる.また加圧時の封入されたゴム人工筋肉の弾性による,湾曲から直線形状に戻す復元効果も得られる. 軸方向収縮型の設計手法構築のために,基本原理を考案し,関節保持力の理論導出から多関節構造体と実験装置の設計製作,保持力と復元効果の実計測による定量評価を行い,査読付き国際学術誌(RA-L)に投稿し,掲載済みである(2022年4月).また,本内容は申請者が筆頭発明者として特許出願(特願2022-077213)を完了している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
索状体の推進性能に直結する柔剛切替機構の設計手法と,内外二層構造の具現化手法の構築は概ね順調に進展しているが,推進時の力学的相互作用のモデル化の検討に関しては次年度実施に変更するためである. 本年度ではボール型ジョイントと円筒ゴムチューブを組み合わせた径方向膨張型と,椀型ジョイントと加圧時に収縮するマッキベン型ゴム人工筋肉を組み合わせた軸方向収縮型の保持性能について,モデル化・実測などで評価し,これらの結果が概ね一致することを確認した.このように提案機構の保持性能を明らかにしたことにより,交互推進時の摺動抵抗に対して,推進時に索状体が座屈することなく形状を維持できる挿入距離の限界値を導出することが可能になった. 年度計画で予定していた推進時の力学モデル構築については本年度中に完了しなかったが,以上の研究成果を用いてモデル構築とモデルに基づいた柔剛切り替え索状体の具現化が可能になったため,本研究は進展していると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は加圧式柔剛切り替えメカニズムを導入した,交互推進が可能な索状体の最適化を検討するために以下3点に取り組む予定である. (1)保持性能をより高める機構の考案・具現化:加圧式柔剛切り替えメカニズムの保持性能を向上させるためには,流体圧による膨張力を効率・効果的に関節間の接触力へ変換する必要があり,そのための最適な構造の検討と基礎特性の測定を行う.機構の最適設計を行うために,関節構造の3Dプリンティングや切削加工,関節やゴムチューブの直径・材質の検討,そして保持力のモデル化のために,実験的な検証や関節のみならず非線形性の強いゴムチューブを含めた有限要素解析に取り組む. (2)推進時の力学モデル構築および柔剛切替え索状体の具現化:交互推進時の力学モデルを有限要素解析などにより構築し,そのモデルにより求められた最大挿入距離を基に,内外二層構造を有する索状体の最適設計を行う.索状体の設計方法の一つとして,内部にゴムチューブ,ホースの順に封入された構造を具現化することが挙げられる.この構成の場合,加圧時にゴムチューブとホースの間に空気を流し込むことになるため,高圧印加時にもホースの潰れを防止可能な金属コイルを内包したホースを使用する. (3)災害模擬環境環境への適用:最適設計された保持,推進機構を統合した柔剛切替え索状体を用いて,研究室内で災害現場を模擬した環境での実証をし,その結果をもとに索状体の改良点と課題を抽出する.索状体が座屈しない挿入距離の限界値を,複雑に湾曲させた状態で索状体を推進させることで実測する.また,瓦礫等の障害物を配置したモックアップ環境における動作試験で有効性を検証し,本機構が有する本質的な推進限界を明らかにする.
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[Presentation] Highly Articulated Tube Mechanism with Variable Stiffness and Shape Restoration Using a Pneumatic Actuator2022
Author(s)
Issei Onda, Kenjiro Tadakuma, Masahiro Watanabe, Kazuki Abe, Tetsuyou Watanabe, Masashi Konyo, Satoshi Tadokoro
Organizer
2022 IEEE 5th International Conference on Soft Robotics (RoboSoft), vol. 7, no. 2, pp. 3664-3671, Edinburgh, Apr. 2022.
Int'l Joint Research
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