2022 Fiscal Year Annual Research Report
Development of novel liquid scintillators using organic-inorganic hybrid materials
Project/Area Number |
22J20552
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
渡邊 晶斗 東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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Keywords | ナノ粒子 / シンチレータ / 有機無機ハイブリッド / ニュートリノ / 波形弁別 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、二重β崩壊探索実験の新規検出器開発に向けて、その二重β崩壊の放射線源となる96Zrを多量に装荷した液体シンチレータの開発を目的としている。当該線源の装荷手法としてはZrO2ナノ粒子の分散を案出し、亜/超臨界水熱プロセスによって表面に有機修飾が施されたZrO2ナノ粒子を合成することによって、液体シンチレータへの高濃度分散が可能なナノ粒子の多量合成プロセスの開発を行っている。特に本年度の研究においては、液体シンチレータの主成分となるトルエンへの、ナノ粒子の高濃度分散の達成のために、適切な有機修飾系を構築することに注力した。 古典的な溶媒/溶質系の熱力学パラメータに基づいて修飾有機分子を選定することにより、トルエンへのナノ粒子の分散が可能になることが示された。また、特に、分子鎖の長さの異なる修飾分子を混合して修飾することにより、この分散濃度が劇的に向上することが判明し、今年度までに1 wt%までのZr濃度を達成することに成功した。 一方で、ナノ粒子の凝集や未反応の修飾剤の残留等の課題も残されており、更なる合成プロセスの改善が要求される。しかし一方で、これらの課題はナノ粒子の分散性や液体シンチレータの性能に直結する因子であり、これらの改善に成功した際には、従来の化合物を溶解した系を大きく上回る線源の添加が実現することが予見される。 一方で、二重β崩壊探索実験においては、液体シンチレータの高感度化が実験の成否に大きく関連するとされており、そのためのバックグラウンドの除去技術の確率も重要視されている。そこで、上記とは別の、Liを装荷した液体シンチレータを用いて中性子の信号からγ線のバックグラウンドを除去する実験も並行して行った。励起分子の物理化学プロセスに着目して材料設計を行うことにより、中性子とγ線の信号を弁別することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ナノ粒子の分散について、当初予定していた濃度を達成することが出来たため。また、バックグラウンドの除去実験として並行していた、中性子とγ線の信号を弁別することにも成功したため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に残された課題を基に合成プロセスの改善を進め、優れた光学特性を示すナノ粒子装荷液体シンチレータの開発を目指す。 また、ナノ粒子添加系で問題となる励起状態の無放射失活を抑制すべく、蛍光ナノ粒子や量子ドット系の開発にも着手する。
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Research Products
(13 results)