2023 Fiscal Year Research-status Report
細胞内反応場の自在制御に向けた相分離分子ネットワークのボトムアップ構築
Project/Area Number |
22KJ0293
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
安海 一優 東北大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Keywords | RNA / RNP / タンパク質 / 相分離 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、前年度に引き続き生体分子が引き起こす相分離現象について、ネットワーク構造に焦点を当てて分子を設計し人工的に再構築することで、構成論的な現象解明、そして制御技術の開発を目指した。特に2種類の生体分子であるRNAとタンパク質にモジュール性を持たせて設計することにより、様々な分子間相互作用や構造多様性を利用し、ネットワーク構造を精密に作りこむ。 分子動力学シミュレーションによって、設計したタンパク質と相互作用の強度を調節した変異体、モジュール間を繋ぐリンカー部位の長さ、剛直性を替えた変異体の可視化を行った。さらに同一のシミュレーション空間内に標的となるRNAユニットを配置することによってシミュレーション上で結合可能性を調査したところ、設計通りの部位において水素結合が形成されRNA-タンパク質間の相互作用が働く様子が観測された。 また、設計したタンパク質をDNAの遺伝子配列に変換し、無細胞翻訳系へ添加することで目的のタンパク質が大腸菌での遺伝子組み換え実験に加えて、効率よく発現するかを調査した。この実験では先の分子集合体が自身を形成する反応を触媒しつつ、相分離が誘導される系の基盤となるものであり、さらに効率よく発現する条件、RNAがアセンブリする条件と調整を行っていく。条件探索をしつつ無細胞翻訳系と設計した分子を同一の系にいれて分析することでいかに分子集合体が転写反応や翻訳反応に干渉するかを調査する。加えて得られた反応の促進、抑制といった結果を分子設計にフィードバックすることで、反応場としての機能、挙動の制御を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
タンパク質の無細胞翻訳系での発現確認や分子動力学シミュレーションによる検証を行うことができたが、得られた結果をまとめた論文執筆と、無細胞翻訳系での確認実験に時間がかかり当初の研究計画よりやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在執筆している論文を投稿しつつ、次点の無細胞翻訳系と組み合わせた実験を並行して行っていく。また、分子設計へのフィードバックは過去に得られた分子集合体の形成実験の結果を踏まえつつ、シミュレーションと組み合わせて進めていく。
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Causes of Carryover |
体調不良により海外で開催される国際学会への参加ができず、また研究進捗状況がやや遅れているため学術誌への投稿が次年度へ持ち越しになったため。
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Research Products
(1 results)