2023 Fiscal Year Research-status Report
スラブ内揮発成分挙動の解明:変成帯横断試料マルチ元素・同位体解析と高圧実験の統合
Project/Area Number |
22KJ0298
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
原田 浩伸 東北大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Keywords | 炭質物 / 炭素同位体 / ラマン分光法 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、プレート沈み込みの過程における有機物由来の炭質物の同位体組成、構造の変化を明らかにするために、四国中央部三波川帯の泥質片岩から分離された炭質物約200試料の解析を中心に行った。全ての試料の炭質物について炭素同位体組成分析と顕微ラマン分光装置による変成温度推定のためラマンスペクトルの取得を終えた。炭素同位体組成は高変成度試料ほど高い値を示す傾向があり、炭酸塩鉱物との同位体交換及び流体への炭素の放出が示唆される。これら炭質物の解析から得られた成果は日本地球惑星科学連合2024年大会で口頭発表予定である。また、初年度から解析を行っている四国中央部三波川帯の温度構造に直交するよう採取された岩石試料(トラバース試料)に含まれるフェンジャイト質白雲母についての解析も進み、LA-ICPMSによる局所微量元素組成分析を行った。フェンジャイト質白雲母の微量元素組成は変成度の変化に伴った系統的な変化は見られず、原岩の特徴を強く反映することが明らかとなった。今後は、後退変成作用による化学組成変化の評価を行うことが課題である。また、前年度に引き続いて米ペンシルベニア州立大学に計4ヶ月滞在し、TIMSによる雲母試料のSr同位体比分析を行い、トラバース試料の一部についてSr同位体比を得た。既に得ていたトラバース試料中のフェンジャイト質白雲母の酸素・水素安定同位体組成についての検討も進め、相平衡モデリングと同位体分別とを組み合わせた解釈から酸素同位体組成の傾向は温度条件を強く反映することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
白雲母の微量元素濃度、Sr同位体比を得たことに加えて、泥質片岩から分離された炭質物およそ200試料全てについて変成温度推定のためのラマンスペクトルの取得及び炭素同位体組成の測定を終えることができた。以上から、研究の進展があったと判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、白雲母の微量元素濃度の測定を追加で行うことに加え、白雲母と共存する変成鉱物についても局所分析による微量元素濃度を得る。また、前年度に取得した炭質物のラマンスペクトルについて解析を行い、変成温度を見積もる。推定した変成温度と炭質物の炭素同位体組成をあわせて変成条件の変化に伴う炭素同位体組成の傾向について考察し、これらの結果をまとめて国際誌へ投稿する。
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Causes of Carryover |
物品費(消耗品)が想定よりも少なく済んだため。次年度は物品費に加え、複数の国内学会での発表のための旅費として使用する計画である。
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Research Products
(11 results)