2021 Fiscal Year Annual Research Report
「社会的要因」と「睡眠覚醒行動」の相互作用とその神経基盤を明らかにする
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21J20567
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
PARK MINJEONG 筑波大学, 人間総合科学学術院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | 睡眠 / 社会性 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウスは社会性に富んだ動物であり、集団で生活する。そのため個飼いはマウスにとってストレスフルな飼育となり、抑うつ行動、攻撃性亢進など様々な行動異常を示す。このように個飼いが望ましい飼育条件ではないにも関わらず、マウスの睡眠覚醒を検討したほとんどの研究は個飼いで評価されてきた。おそらく睡眠覚醒も、個飼いか群飼いかで異なり、群飼いの場合は社会的要因によって睡眠量や睡眠の質が変化するのではないかと考えられる。さらに、社会的要因による睡眠覚醒の変化だけではなく、個体の睡眠の量や質も社会行動を変化させる可能性も考えられる。本研究では従来の睡眠研究が無視してきた、社会性動物というマウスの性質が睡眠覚醒に及ぼす影響を明らかにすることを目標とする。 初年度は、個飼いと群飼いでの睡眠覚醒の違いを、覚醒、ノンレム睡眠、レム睡眠の時間、エピソード長、ノンレム睡眠中脳波徐波成分等を指標に検討した。従来の睡眠測定で群飼い測定ができなかった理由の一つは、テザーケーブルを用いて脳波筋電を記録することによる技術的な困難にあったからである。この問題を回避するために、研究代表者はテザーケーブルと飼育ケージの両方に様々な工夫をこらした。この結果、他個体がいる状況下で睡眠を測定することに成功した。今後、他個体の存在が睡眠覚醒行動に与えるかどうか、影響を与える場合は視覚、触覚、嗅覚、聴覚のどの知覚情報が重要な役割を果たすかの検討を進める計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、計画通りに個飼いと群飼いでの睡眠覚醒の違いを、覚醒、ノンレム睡眠、レム睡眠の時間、エピソード長、ノンレム睡眠中脳波徐波成分等を指標に検討した。従来の睡眠測定である、テザーケーブルを用いて脳波筋電を記録することは、群飼い測定が困難であった。技術的に困難であった群飼い測定を実行するため、テザーケーブルと飼育ケージの両方に様々な工夫をこらし、他個体がいる状況下で睡眠を測定することに成功した。今後この結果に基づいて研究を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
個飼いと群飼いでの睡眠覚醒の違いから、他個体の存在が睡眠覚醒行動に与えるかどうか、影響を与える場合は視覚、触覚、嗅覚、聴覚のどの知覚情報が重要な役割を果たすかを検討する。全ての実験は、雄マウスだけではなく、雌マウスも用いる予定である。また、同一個体を群飼いから個飼いに、逆に個飼いから群飼いにして睡眠覚醒を検討し、飼育条件の順序による影響も検討する。睡眠測定は、ビデオ撮影と同時に行い、睡眠覚醒時のマウスの行動も観察する。
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