2023 Fiscal Year Annual Research Report
「社会的要因」と「睡眠覚醒行動」の相互作用とその神経基盤を明らかにする
Project/Area Number |
22KJ0364
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
PARK MINJEONG 筑波大学, 国際統合睡眠医科学研究機構, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 睡眠覚醒行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
従来の睡眠覚醒行動は個飼いにしたマウスのみを評価する。しかし、マウスは本来集団で生活する動物であり長期に個飼いにすると抑鬱・攻撃性亢進など様々な異常を示すこともある。本研究では、群飼いの場合、社会的要因によって睡眠量や睡眠の質が変化するのではないかと仮定し、マウスの社会性が睡眠覚醒行動に及ぼす影響とその神経基盤を明らかにすることを目的とする。 現在までの実験データで、個飼いと群飼いでマウスの睡眠時間が異なることを明らかにした。同一個体のマウスにおいて、群飼いでは覚醒時間が減少し、それに伴い睡眠時間が増加することが示された。また、群飼いの場合、睡眠時間が長く、ステージ数も多かったが、その原因は定かではない。同じ空間にある2つの個体は睡眠時に一緒に寄り添って眠るが、直接接触することで体温が温まり、周囲の温度の変化が原因とも考えられる。また、自分以外の同種の個体が同じ空間にいること(嗅覚的、聴覚的要素)の心理的な安心感も考えられる。このような可能性が考えられるため、仕切りを用意し、直接接触することが影響を与えているのかを確認した。その結果、仕切りがある状態では、個飼いと群飼いで睡眠時間、睡眠要求、睡眠ステージ数に違いが無かった。これは、直接接触することが群飼いの睡眠状態に影響しているということを示唆している。さらに、群飼いの状態では、2匹のマウスが同じ空間で寄り添って眠ることにより、マウスの睡眠覚醒状態がシンクロしていることが明らかとなった。同時に覚醒し、同時に睡眠をとることで、お互いの睡眠覚醒状態が影響しているのではないかと考えられる。
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