2022 Fiscal Year Annual Research Report
B型肝炎における肝ナチュラルキラーT細胞が発現する活性化受容体DNAM-1の役割
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21J20700
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
松尾 壯一 筑波大学, 人間総合科学学術院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | 急性肝障害 / 活性化免疫受容体 / DNAM-1 / NKT細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
急性肝障害は生命を脅かす重篤な疾患であるが、著効を示す治療法は未だ存在しない。急性肝障害の病態形成にはナチュラルキラーT(NKT)細胞による免疫応答が関与するが、その分子機序は十分に理解されていない。本研究では、HBV急性肝障害マウスモデルを用い、急性肝障害における、NKT細胞が発現する活性化免疫受容体DNAM-1の役割を解明することを目的とした。 HBV急性肝障害モデルマウス樹立の間、in vitroにてNKT細胞上のDNAM-1の役割を解析した。野生型(WT)及びDNAM-1欠損マウスからNKT細胞に富む肝リンパ球分画を単離し、マウス初代培養肝細胞と共培養した。その結果、DNAM-1欠損肝リンパ球と肝細胞の共培養では肝リンパ球のIFN-g産生が減少した。また、マウスHBV急性肝障害にて好中球の浸潤が肝障害の増悪に関与することが報告されている(J Virol 2005;79:15142, J Leukoc Biol 2006;81:100)。これを受けて、好中球遊走因子KCの産生を評価したところ、DNAM-1欠損肝リンパ球との共培養において肝細胞によるKC産生が増加していた。また、肝細胞におけるDNAM-1のリガンドCD155及びCD112の発現を評価したところ、肝細胞はCD155を高発現する一方でCD112は低い発現を示した。以上から、CD155欠損肝細胞とWT肝リンパ球を共培養したところ、培養上清中のIFN-g濃度の減少及びKC濃度の増加が認められた。以上から、肝NKT細胞上のDNAM-1はNKT細胞によるIFN-gの産生を促進する一方、肝細胞上のCD155との相互作用により肝細胞のKC産生を抑制することが示唆された。 以上の研究成果を免疫学の国際学術誌に投稿し、現在リバイス実験を行なっている最中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
NKT細胞が発現するDNAM-1が、肝細胞が発現するCD155との相互作用を通じてIFN-gの産生を促進する一方で、肝細胞による好中球遊走因子KCの産生を抑制している可能性を示した。今後はHBV急性肝障害モデルマウスを確立し、NKT細胞が発現するDNAM-1が肝障害の増悪に関与するかどうかをin vivoにて検証する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
NKT細胞が発現するDNAM-1の肝障害における役割をin vivoにて検証するために、HBV急性肝障害モデルマウスを確立し、野生型またはDNAM-1欠損NKT細胞を移入したHBV Tg x Rag1欠損マウスの血漿中サイトカイン及びアラニンアミノ基転移酵素(ALT)濃度を測定する。また、肝障害誘導後NKT細胞を単離し、定量的RT-PCR及び再刺激後のサイトカイン細胞内染色にて肝障害と相関するサイトカインを特定する。 HBV急性肝障害の病態形成における、抗DNAM-1中和抗体によるDNAM-1中和の効果を検証するために、HBV Tg x Rag1欠損マウスにNKT細胞を移入する前日(予防モデル)、あるいはNKT細胞移入後の肝障害発症後(治療モデル)に抗DNAM-1中和抗体またはコントロール抗体を投与し、肝障害の重症度を評価する。
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