2023 Fiscal Year Annual Research Report
B型肝炎における肝ナチュラルキラーT細胞が発現する活性化受容体DNAM-1の役割
Project/Area Number |
22KJ0366
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
松尾 壯一 筑波大学, 人間総合科学学術院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 急性肝障害 / 好中球 / ケモカイン / DNAM-1 / CD155 |
Outline of Annual Research Achievements |
急性肝障害は生命を脅かす重篤な疾患である。しかし、急性肝障害に著効を示す治療法は未だ完全には確立していない。急性肝障害の病態形成にはナチュラルキラーT(NKT)細胞が関与することが知られているが、その分子機構は十分に理解されていない。本研究では、B型肝炎ウイルス(HBV)急性肝障害マウスモデルを用い、急性肝障害の病態形成における、NKT細胞が発現する活性化免疫受容体DNAM-1の役割を解明することを目的とした。 HBV急性肝障害モデルマウス樹立のために複数の遺伝子改変マウスを交配する必要があるため、その間に野生型(WT)マウスより単離した肝NKT細胞を、抗CD3抗体及び抗DNAM-1抗体でin vitroにて架橋刺激したところ、DNAM-1の刺激によりNKT細胞のIFN-g産生が亢進した。 さらに、WT及びDNAM-1欠損マウスからNKT細胞に富む肝リンパ球分画を単離し、マウス初代培養肝細胞と共培養したところ、DNAM-1欠損肝リンパ球はIFN-g産生の減少を示した。また、好中球の浸潤がマウスHBV急性肝障害の増悪に関与することが報告されている(J Virol 2005;79:15142, J Leukoc Biol 2006;81:100)。これを受けて、好中球遊走因子CXCL1の産生を評価したところ、DNAM-1欠損肝リンパ球との共培養において肝細胞によるCXCL1産生が増加していた。さらに、肝細胞はDNAM-1のリガンドであるCD155を高発現していた。WTまたはCD155欠損肝細胞とWT肝リンパ球を共培養したところ、CD155欠損肝細胞はCXCL1産生の減少を示した。以上から、in vitroにて肝NKT細胞上のDNAM-1はNKT細胞によるIFN-gの産生を促進する一方、肝細胞上のCD155との相互作用を通じて、肝細胞のCXCL1産生を抑制することが示唆された。
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