2022 Fiscal Year Annual Research Report
自閉スペクトラム症者の自尊感情の質と主観的幸福感に着目した新規支援法の開発
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22J10309
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
尾川 周平 筑波大学, 人間総合科学学術院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | 自閉スペクトラム症 / 自己価値の随伴性 / 自己価値の源泉の充足感 / 自尊感情 / 主観的幸福感 |
Outline of Annual Research Achievements |
ASDのある高校生を対象にしたアンケート調査、成人期ASD者を対象にしたアンケート調査および面接調査を実施した。 ASDのある高校生を対象にしたアンケート調査においては、ASDのある高校生の自己価値の随伴性・源泉の充足感と主観的幸福感の実態と関係性を同年代との比較を通して検証した。具体的には、ASDのある高校生12名と同年代の高校生50名を対象にアンケート調査(高校生用の自己価値の随伴性・源泉の充足感尺度、生活満足度尺度)を実施した。その結果、ASDのある高校生は同年代の高校生よりも、自己価値の源泉の充足感の「意欲的活動」が低いことが明らかとなった。さらに、ASDのある高校生と同年代の高校生において、自己価値の源泉の充足感の「学業能力」「人間関係」「意欲的活動」が高い程、主観的幸福感が高いことが示された。 成人期ASD者を対象にしたアンケート調査では、成人期ASD者の自己価値の随伴性・源泉の充足感と主観的幸福感の実態と関係性を同年代の対照群との比較を通して検証した。具体的には成人期ASD者19名と同年代50名を対象に質問紙調査(成人期用の自己価値の随伴性・源泉の充足感尺度、主観的幸福感尺度)を実施した。その結果、成人期ASD者は同年代の対照群よりも自己価値の随伴性・源泉の充足感において、「意欲的活動」が高いことが明らかとなった。さらに、ASD者の自己価値の源泉の充足感の「運動能力」「友人関係」が高い程、主観的幸福感が高いことが示された。 成人期ASD者を対象にした面接調査では、成人期ASD者7名を対象にして、自己価値の随伴性・源泉の充足感と主観的幸福感に関する面接調査を実施した。その結果、信頼できたり仲が良かったりする友人の存在がASD者の主観的幸福感を高める上で、重要な役割を果たす可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、ASDのある高校生を対象にしたアンケート調査、成人期ASD者を対象にしたアンケート調査および面接調査を実施することができた。ASDのある高校生を対象にした対象にしたアンケート調査については学術論文として発表することができた。成人期ASD者を対象にしたアンケート調査については、英文の学術誌に投稿中である。成人期ASD者を対象にした面接調査については執筆中であり、今後、学会発表や論文投稿により成果を発表していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、成人期ASD者の自己価値の随伴性・源泉の充足感と自尊感情の関係性について、同年代との比較を通して明らかにする。方法としては、質問紙調査を予定している。さらに、これまでに実施した質問紙調査および面接調査を通して得られた知見に基づき、自己価値の随伴性・源泉の充足感に着目したプログラムを成人期ASD者に対して実施して、効果検証を行う予定である。また、得られた研究知見について、学会発表や学術論文への投稿を引き続き行っていく予定である。
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