2023 Fiscal Year Annual Research Report
自閉スペクトラム症者の自尊感情の質と主観的幸福感に着目した新規支援法の開発
Project/Area Number |
22KJ0383
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
尾川 周平 筑波大学, 人間総合科学学術院, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 自閉スペクトラム症 / 自尊感情 / 自己価値の随伴性 / 自己価値の源泉の充足感 / 主観的幸福感 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、1) 自閉スペクトラム症(ASD)者の自己価値の随伴性・源泉の充足感と主観的幸福感の実態およびその関係性を明らかにすること、2) ASD者の自己価値の随伴性・源泉の充足感に着目した主観的幸福感の支援プログラムを開発することであった。 質問紙調査により、ASD者は非ASD者よりも、興味があることに取り組むことが自分にとって大事であったり、好きなことに熱中することで自分に自信が持てたりすると感じていること明らかとなった。さらにASD者は、興味があることに取り組んだり、好きなことに熱中したりしている程、自尊感情が高いことが示された。本研究の知見より、ASD者の興味があることや熱中できることを踏まえた上で、ASD者の自尊感情支援を行うことの有効性が示唆された。 質問紙調査により、ASD者の自己価値の随伴性は、主観的幸福感とほとんど関係性がないことが示された。一方、ASD者の自己価値の源泉の充足感は、主観的幸福感と関係性が一定程度あることが示された。特にASDのある高校生および成人期ASD者に共通して、自己価値の源泉の充足感の「人間関係 (友人関係)」が高い程、主観的幸福感が高くなっていた。面接調査においても、成人期ASD者の7名中6名が、信頼できたり仲の良かったりする友人がいることで、幸せな気持ちが高まる旨の回答をした。つまり、ASD者の主観的幸福感を高める上で、仲の良い友人がいることが重要である可能性が示された。以上の知見を踏まえ、ASD者の自己価値の随伴性・源泉の充足感に着目した主観的幸福感の支援プログラムを実施し、効果検証することが課題となった。
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