2022 Fiscal Year Annual Research Report
Educational and Social Significance of School Education for People with Acquired Disabilities
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22J10451
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
松田 えりか 筑波大学, 人間総合科学学術院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | 原著論文国際誌受理・掲載(査読有) / アワード受賞 / 国内学会ポスター発表 / 国内学会口頭発表 / 共著論文国際雑誌掲載(査読有) / 原著論文国内雑誌掲載(査読無) |
Outline of Annual Research Achievements |
視覚特別支援学校の特徴と中途視覚障害者の社会復帰に重要となる要素に関するアンケート調査の分析を遂行し、結果に基づいた学会発表と誌上発表を進めた。具体的には、学校の特徴として使用した「人と人とのつながり」を意味するソーシャル・キャピタルと、「困難事象からの回復と成長」を意味するPosttraumatic Growthとの関係については、日本特殊教育学会第60回大会にて演題発表(ポスター形式)を行い、フューチャーリサーチアワードを受賞した。本受賞については、特殊教育学会ニュースレターにて受賞のコメントが掲載された。さらに、ここで発表した内容を基に、国際誌「Education Sciences」へ原著論文を投稿したところ、2023年2月17日付で受理、2月28日付でオンライン公開となった。また、ソーシャル・キャピタルとコミュニケーションスキルとの関係については、第49回日本職業リハビリテーション学術大会にて口頭発表し、その後同学会誌にて論文投稿を行い、現在審査中となっている。 アンケート調査に続いて開始したインタビュー調査においては、すべてのデータ収集を終え、分析に使用する基礎理論とモデルの枠組みを検討した。現在は、テキスト化されたインタビューデータを分析中である。 海外研究交流に関しては、2023年7月に開催される視覚障害に関する国際会議であるVISION 2023において、視覚障害者の心理的変容に関する演題をエントリーし、採択が決定した。 なお、昨年度実施した視覚特別支援学校が中途視覚障害者を対象に展開している取組に関する文献研究について、雑誌「弱視教育」に原著論文の入稿を行った。また、この文献研究と関連する研究が共著論文として国際誌「British Journal of Visual Impairment」に投稿され、受理および公開に至った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
該当研究においては、量的研究と質的研究の双方の結果から、中途障害者の支援における教育機関の役割について総合的に考察することを目指している。現在まで、前半部分にあたる量的研究の結果についてはすでに分析を終了しただけでなく、学会発表も数回実施し、さらに原著論文として国際雑誌における公開にも至り、国内雑誌にも投稿済みである。よって、前半部分にあたる量的研究においては、その内容を総合的に解釈できる準備がほぼ整ったといえる。 質的研究においては、すでにデータは収集済みであり、現在はその分析段階にある。また分析に使用する枠組みについてもほぼ確定している。よって、現段階においては、予定していた計画に従って諸事実施できていると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、視覚特別支援学校の特徴と中途視覚障害者の社会復帰に重要となる要素との関係性について収集した質的インタビューデータの分析を進める。同時に、年度末までの完成を目標に、3年間の研究成果を総括する博士論文の執筆を進める。 インタビュー調査の分析は、それに先立って導出したアンケート調査結果を参照し、学校教育の有する特徴として、「人と人とのつながり」を意味するソーシャル・キャピタルの概念に着目しし、それが中途障害者の社会復帰に重要となる要素にどのように影響を及ぼしたのかについて、理論的枠組みも参考にしながら分析する。テキストデータとなっているインタビューの発言内容の分析は、オープンコーディングを実施した後、演繹的に整理統合して行く。これにより、中途視覚障害者の支援における教育機関としての特色・役割・社会貢献性を明確化することを試みる。 博士論文の作成については、量的研究と質的研究の双方で得られた結果を、学校教育が当事者に与える教育的・社会的意義の観点から総合的に解析して考察する。3年間の研究を総括し、中途障害者の社会復帰の支援における教育機関の役割を明確化するために、教育関連・福祉関連におけるこれまでの幅広い知見を整理・集約し、本研究で得られた結果をそれらと照合することにより、中途障害者の支援について、今後の発展と向上に寄与する提言を目指す。 研究の遂行に伴い、学校教育に関する知見だけでなく、障害者のリハビリテーションの 現状や問題点に関する知見を深めるため、教育関連学会および福祉関連学会への参加を予定する。とくに、インタビュー調査の分析結果については、国内の関連学会において本年度内の成果発表を予定する。
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Research Products
(7 results)