2023 Fiscal Year Annual Research Report
佐渡島ヤマカガシ個体群の頸腺毒獲得による生態的変異とその適応的意義
Project/Area Number |
22KJ0402
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
澤田 聖人 筑波大学, 理工情報生命学術院, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 生態 / 餌毒の二次利用 / ヤマカガシ / ヒキガエル / 外来種 / 生物間相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、2022年度に得た「佐渡島のヤマカガシは外来ヒキガエルの侵入に伴い頸腺毒を獲得している」という結果を基にヒキガエル侵入地域と未侵入地域のヤマカガシ個体群間でどのような生態的違いが生じているのかを調査した。その結果、ヒキガエル侵入地域のヤマカガシ個体群は未侵入地域の個体群と比較して、防御用毒である頸腺毒に依存した対捕食者行動を頻繁に示すことがわかった。加えて、両地域におけるヘビ類の種構成や食性についても調査した。その結果、種構成は両地域間に有意な差はみられなかった。一方、食性は両地域間に違いがみられたが、ヤマカガシと類似した食性をもつシマヘビでも同様の傾向がみられたことから、この違いはヤマカガシの頸腺毒獲得によるものではなく、島内の餌環境的な要因に依存したものであると考察された。上記の結果は報告者の博士論文「Acquisition of Defensive Toxins from Invasive Toads in Native Rhabdophis tigrinus and its Ecological Effects」としてまとめられた。 10月からはDC2からPDに資格変更をした上、JSPS若手研究者海外挑戦プログラムの下、10月2日~3月1日まで台湾で研究課題「世界の侵略的外来種オオヒキガエルは台湾のヤマカガシの毒源として利用されているのか」を遂行した。本研究では、台湾に分布するヤマカガシ(毒源として在来ヒキガエルを利用)が近年外来種として持ち込まれた中南米原産のオオヒキガエルを毒源として利用しているのかを確かめるべく、受入研究者であるTein-Shun Tsai教授(National Pingtung University of Science and Technology)サポートの下、フィールドワークおよび室内行動実験を行った。
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