2022 Fiscal Year Annual Research Report
植物に寄生蜂を誘引させる害虫由来物質の同定と害虫防除に向けた検討
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22J11175
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小松崎 優 筑波大学, 理工情報生命学術院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | チャノコカクモンハマキ / エリシター / 三者系 / 寄生蜂 / トランスクリプトーム解析 / 遺伝子機能阻害 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は、ハマキガの産卵時分泌物に含まれるエリシターを同定し、エリシター処理によるチャ樹の保護効果を検証することである。昨年度までに、エリシターがハマキガ雌成虫の生殖器系の一つである付属腺に局在するタンパク質であることを明らかにした。本年度は、上記の知見にもとづいてエリシターをコードする遺伝子の探索を行った。ハマキガ雌生殖器系を構成する5器官について、それぞれから抽出した全RNA用いて、網羅的な遺伝子発現解析を行った。その結果、エリシターが局在する付属腺でのみ高発現する複数のエリシター候補遺伝子を抽出することに成功した。また本研究では、得られた候補遺伝子からエリシター活性に関与する遺伝子をスクリーニングする手法として、RNA干渉による遺伝子機能阻害を計画していた。しかし、対象とするハマキガ(チャノコカクモンハマキ)では、RNA干渉の可否は報告されていなかったため、本研究ではまず、ハマキガにおけるRNA干渉の可否について検討した。得られていた候補遺伝子の一つを鋳型にして二本鎖RNAを合成し、それをハマキガ蛹体内へ注射すると、目的遺伝子の発現量が有意に減少した。すなわち、ハマキガにおけるRNA干渉が可能であることを明らかにし、標的遺伝子をノックダウンするシステムを確立した。RNA干渉による候補遺伝子の機能阻害と、機能阻害した付属腺を塗布したチャ葉上における寄生蜂の行動を観察し、エリシター活性を評価する生物試験を組み合わせることで、エリシターに関与する遺伝子が得られてきている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
飼育昆虫の生育不良が発生したため、行動解析に遅れが生じ、当初計画していたエリシターの同定が完了しなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、エリシターの同定を行うとともに、同定されたエリシターを用いたチャ樹の保護効果を網室内で検証する。
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Research Products
(2 results)