2022 Fiscal Year Annual Research Report
日本人介護職員が業務中使用する「普通体」の機能分析―技能実習生への還元に向けて―
| Project/Area Number |
22J11293
|
|---|
| Allocation Type | Single-year Grants |
|---|
| Research Institution | University of Tsukuba |
|---|
Principal Investigator |
大槻 薫子 筑波大学, 人文社会ビジネス科学学術院, 特別研究員(DC2)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
|
| Keywords | 介護 / 外国人技能実習生 / 日本語教育 / 実習生と介護施設利用者の日本語コミュニケーション / 日本人職員と介護施設利用者のコミュニケーション / 介護分野における人材確保 / 外国人介護人材 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、介護施設に従事する技能実習生の日本語教育支援を検討・実践することを目的とし、日本人職員および実習生が業務中利用者とのやりとりで見せる日本語コミュニケーションに注目するものである。
2022年度の計画は、(1)国外における介護分野に関する先行研究を整理すること、(2)データ収集における倫理審査委の許可を得ること、(3)施設内での参与観察及びデータ収集から得られたデータを文字化し分析の材料を作成することが主な内容であった。
まず、(1)国外における介護分野にかかる先行研究の整理については、口頭発表にて多方面からの意見・コメントをもらった。すでに国外では介護・看護分野で外国人材の受入れが積極的に行われている現状から、日本が後進国的な立場にあることは周知のとおりであるが、国内における介護の概念は他国と比較すると独自の方法であることが明らかになった。さらに、外国人材の受入れが日本の施設にとって人材確保の観点からも重要な役割を担うということも調査で明らかになり、今後本研究でも、人材確保として大きな役割を担う技能実習生の実際について日本語教育の観点から特徴を明らかにしていく。次に、(2)2022年度中に倫理審査委員会からは、承諾を得られた。そのため、計画通りデータ収集が可能となった。データは主に日本人職員と利用者間のやりとり、そして技能実習生と利用者間のやりとりをそれぞれ施設許可が得られた範囲内で収集している。最後に、(3)参与観察およびデータ収集から得られたデータを文字化し分析の材料とすることについては、遅れが生じ現状も続いている。理由は、コロナの影響および、データ内容とその分析の意義を示すために、日本人職員（指導者）からみた技能実習生の特徴や課題などについてインタビューを追加したためである。これについては第47回社会言語科学会にて発表済みである。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年もコロナ感染拡大の懸念が続き、特に本研究の対象である介護施設では厳重な人の移動の制限が行われた。またクラスターの発生等により施設に入ることができなかった時期もあり、データ収集の時期が遅れ、それに伴い計画も遅れが生じている。また、研究の意義を明確にするために、当初計画にはなかった日本人職員に対してインタビュー調査も追加した。そのため、主にデータの分析に遅れが生じている。
|
| Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の方針として以下2点を優先的に行う。
1つ目は、データの分析である。収集したデータは大きく分けて２種類で、日本人側と実習生側に分かれる。このうち、実習生側のデータから特徴的な表出部分を抜き出し、分析していく。それに関係して、日本人側は同場面でどのような日本語表現およびコミュニケーションを示しているのか、日本人職員側のデータを順次観察していく。
本研究でのデータ分析には談話分析と会話分析を融合させて行っていく予定である。したがって、分析については随時データセッションなどで他者からの意見やコメントをもらいつつ、客観的視点を担保しながら進めていく。
2つ目は、上記内容のデータ分析結果を学術論文として発表することである。昨年度までに行ってきた研究については、ほとんど口頭発表に終わり論文執筆までに至らなかった経験を踏まえ、本年度はそれらの情報も入れつつ、研究成果として論文を投稿していく予定である。
|
Research Products
(3 results)
