2022 Fiscal Year Annual Research Report
高校生物における概念理解の個人特性を反映したストーリーの活用に関する実証的研究
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22J20254
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
志賀 優 筑波大学, 人間総合科学学術院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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Keywords | 高校生物 / 概念理解 / ストーリー / Conceptual Profile |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ストーリーを活用した授業の構成・展開方法に関する教授論的知見と、概念理解の個人特性を扱う科学概念理解研究の理論であるConceptual Profile Theory(CP理論)に関する学習論的知見とを統合した高校生物の指導法の考案を目指すものである。この目的を達成するために、本年度は以下の2点を中心として研究を展開し、成果を得た。 第一に、CP理論のリサーチ・プログラムにおいて報告されている進化分野の「適応」概念を事例とした理論的な分析を通じて、「異種混交性」を反映した生物学の概念に関するCPモデルの特徴を明らかにした(「Conceptual Profile Theoryにおける異種混交性を反映した生物学の概念理解モデルの特徴 ─進化分野「適応」概念を中心として─」『日本科学教育学会研究会研究報告』、36巻5号、13-18頁)。 第二に、ストーリーの基本的な構成単位とされている「事象」とその配列に関する特徴に着目した分析を通じて、高校生物の学習内容の説明において活用されているストーリーを類型化しつつ、各類型のストーリーでは生物学概念が如何に織り込まれており、概念理解を促す上で何が重視されているのか、を明らかにした(「高校生物の学習内容の説明において活用されるストーリーの類型 ─教授上のねらいとストーリーの構成との対応に着目して─」『日本科学教育学会研究会研究報告』、37巻4号、77-82頁)。 上述した本年度の成果は、次年度を含む研究全体の目的達成に向けた基盤となるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度実施予定であった、CP理論における「異種混交性」を反映した生物学概念に関する概念理解モデルの特徴の解明、および子どもの概念理解を分析する手法の解明が達成されているため。また、同じく本年度実施予定であった、生物学概念の理解を促す教科内容の説明における目標と、ストーリーの構造(事象とその配列)との対応の解明が、概ね達成されているため。
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Strategy for Future Research Activity |
コミュニケーション場面における多様な表象や表現様式の使い分け・活用に関する英国の理論に着目した理論的・実践的検討を通じて、高校生物の学習内容の説明に関する技法・方法論を吟味していく。また、CP理論における概念理解の分析手法を参照し、他の科学概念理解研究に関する理論の知見をも踏まえつつ、高校生の生物学概念の理解に関する調査・分析の実施に向けた計画を具体化していく。
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