2022 Fiscal Year Annual Research Report
新規C型レクチン受容体Clec12bの機能の解明とその治療応用
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22J21250
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
飯島 綾菜 筑波大学, 人間総合科学学術院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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Keywords | 皮膚マスト細胞 / C形レクチン受容体 / 抑制性受容体 / アレルギー性皮膚炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
接触性皮膚炎モデルであるcontact hypersensitivity (CHS) は、原因物質を樹状細胞がT細胞に提示する感作相と、再び同抗原が侵入した際の炎症応答である誘発相から成る。FITCの皮膚への塗布は、マスト細胞の活性化を介してCHSを誘導する。感作相においてマスト細胞は、サイトカインであるTNF-α、IL-1や脂質メディエーターを産生し、樹状細胞の所属リンパ節への遊走を誘導する。誘発相では、ヒスタミン等の炎症性メディエーターを放出し、血管透過性を増加させて皮膚炎を増強する。野生型及びClec12b-/-マウスに対しFITCを用いてCHSを誘導したところ、Clec12b-/-マウスにおいて耳介の肥厚が亢進した。また、FITC感作後の鼠経リンパ節へ遊走したFITC陽性樹状細胞がClec12b-/-マウスで増加していた。次に感作相におけるClec12bの機能を解明するため、FITC 塗布後の皮膚を採取し、マスト細胞におけるサイトカインの産生及び残留する顆粒量を評価したが、サイトカイン量は検出限界以下であり、顆粒の残留量に差はみられなかった。このことから、Clec12b-/-マウスでは、FITCによる感作後に炎症が亢進することが明らかになったが、感作後の皮膚を用いた皮膚マスト細胞の評価は難しいと判断した。そこで次年度は、Clec12bを強制発現させた骨髄由来マスト細胞を、FITCによる感作後にケラチノサイトから放出されるATPといったダメージ関連分子パターンを用いて刺激し、上清中のサイトカイン及びβ-hexosaminidase量を解析する。また、当初の計画通りトリニトロフェノール (TNP) 特異的IgE及びTNP化した抗Clec12bモノクローナル抗体を用いて、FcεRI及びClec12bを架橋して刺激し、Clec12bの抑制分子機構を解析する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Clec12bがアレルギー性皮膚炎において炎症を抑制する機能を持つことを示すことが出来た。また、今後の計画として、骨髄由来マスト細胞を用いた実験系に必要であるTNP化した抗Clec12b抗体の作製も完了している。
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Strategy for Future Research Activity |
FITCを用いた接触性皮膚炎実験動物モデルでは、皮膚マスト細胞におけるClec12bによる脱顆粒の抑制能を見ることが難しいと考え、皮膚マスト細胞が発症・増悪に寄与するとして知られるハウスダストマイト誘導性アトピー性皮膚炎実験動物モデルに変更する。また、同時並行的にトリニトロフェノール(TNP)特異的IgE及びTNP化した抗Clec12b抗体(TX109抗体)を用いて、BMMC-Clec12b上の活性化受容体FcεRI及びClec12bを架橋して刺激し、Clec12bが脱顆粒を抑制する受容体であるか検証する。続いて、BMMC-Clec12bを過バナジン酸で処理し、TX109抗体を利用した免疫沈降法とその後の免疫ブロッティングによってClec12bに会合する脱リン酸化酵素を同定する。さらに、マスト細胞上の活性化受容体として知られるToll様受容体2・4や、ATP受容体P2X7のリガンドを用いてBMMC-Clec12bを刺激し、同時にTX109抗体による架橋にてClec12b抑制性シグナルを伝達した際に、Clec12b抑制性シグナルによって脱顆粒及びサイトカイン産生が抑制されるかを検証することで、Clec12bがどの活性化シグナルを抑制するか特定する。
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