2022 Fiscal Year Annual Research Report
Dreamy変異マウスを用いたレム睡眠制御機構の解明
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22J21816
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
宮西 和也 筑波大学, グローバル教育院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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Keywords | レム睡眠 / フォワード・ジェネティクス / 睡眠・覚醒行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
所属研究室では、睡眠制御の中核を担う新規の睡眠制御分子を同定するために、睡眠異常という表現系をもとに、大規模なフォワード・ジェネティクススクリーニングに挑んできた。近年、所属研究室では新規レム睡眠異常モデルマウス『Dreamy変異マウス』を樹立した。連鎖解析やエクソーム解析より、Dreamy変異マウスにて集積が見られる遺伝子Xの一塩基変異は終止コドンを生じるナンセンス変異であり、Dreamy変異マウスのレム睡眠異常の候補遺伝子として挙げられている。本研究計画では、申請者はDreamy変異マウスで見られる遺伝子Xのナンセンス変異を模倣する遺伝子改変マウスを作成し、睡眠・覚醒行動を評価した。結果として、遺伝子Xのナンセンス変異を導入することで、Dreamy変異マウスで見られるレム睡眠の著明な増加を再現することができ、遺伝子XをDreamy変異マウスのレム睡眠異常の責任遺伝子として同定し、遺伝子XをDreamy遺伝子と名付けた。 Dreamy遺伝子は転写調節因子として知られており、本研究ではDreamy遺伝子のレム睡眠制御メカニズムの解明を目指す。また、本研究の発展により、依然として未知の領域であったレム睡眠の細胞内制御機構の解明に繋がる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで、申請者はDreamy変異マウスで集積が見られるDreamy遺伝子のナンセンス変異を模倣する遺伝子改変マウスを作成し、睡眠・覚醒行動を評価することで、Dreamy遺伝子のナンセンス変異がDreamy変異マウスで見られるレム睡眠異常を再現することを明らかにした。加えて、申請者は全脳に感染可能な新規AAVセロタイプAAV-B10を用いて、神経細胞特異的なDreamy遺伝子の遺伝子発現抑制がレム睡眠増加を誘導することを明らかにした。これらのことから、Dreamy変異マウスで見られるレム睡眠異常は、Dreamy遺伝子の機能喪失により引き起こされていることを見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
Dreamy遺伝子は転写調節因子として知られており、神経細胞内の遺伝子発現制御によりレム睡眠を制御している可能性が考えられる。今後は、Dreamy遺伝子のレム睡眠制御機構、特にレム睡眠に重要な細胞内カスケードを明らかにするために、シングルセルRNAシーケンスを行うことを計画している。シングルセルRNAシーケンスにより、一細胞レベルで網羅的な遺伝子発現解析を行うことで、Dreamy遺伝子の変異による細胞内分子カスケードの変化を捉え、Dreamy遺伝子に関連したレム睡眠制御機構の解明を目指す。
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Research Products
(1 results)